アフリカ南部の滝とサファリ 第3編

{photo:t903_1VFAsun 日の出とヴィクトリア滝の水煙 国境の橋より}

  
  −−−−−− Africa THE South 19Days ― part3 −−−−−−
                   ヴィクトリアフォールズ(後編)


{5日目;5/19(火曜日)at ヴィクトリアフォールズ in ジンバブエ}

[スノーの発動]
  早朝4:30 トイレに起きると別室の誰かに「ツアーの時間か?」と呼び止め
られた。(3泊目にしてもう1人増えたのか?)
TAKT「トイレット!起こしてごめん。」
自分の泊まっていたシャレットは、6bedだったが、3bedずつの2部屋に別れて
いた。ウィルと自分は冷蔵庫のない方の部屋に3泊寝ていたのだ。だが、朝ちゃ
んと起きてから、その声の主はウィルだという事が分かる。
 そう、自分は普段なんともないらしいのだが、疲れた時,風邪ひきの時,鼾を
かくらしいのだ。昨夜はアルコールも入っていたし、、、。シャワーで鼻血も出た
。なのにクルミも食べた。
 ごめん、ウィル。自覚がないのでどうしようもない。

[ラフティング]
ラフティングとは:ゴムボートを使った川下り。川とそのコースに依って難
         度(T〜X)が公表されていて、ここのは最高難度のX。
         NZのクイーンズタウンのはV。水位が高いと渦が起こ
                  り、低いと水底の岩で危険。
7:30 BPバザールで集合。キャンプサイトの顔見知りもいるし、昨日、バン
ジー見学で見たジェニファーちゃんもいる。寒かった。短パンにTシャツ,上着
にGジャン,水泳用グラスと予備の眼鏡。それとパスポート。難度Vは、NZで
体験済みだ。だから余計な物は一切持っていかなかった。
送迎の車に乗って、VISA代US$10払わないでサンビア側に入国。上流でコー
ヒーを飲みながら説明を受ける。振り落とされたり、UPSETしたボート下に入っ
てしまった時などの一般的な注意をされる。(基本は、浮いた状態で流されてい
ると助けてくれる。だから、あわてない事)その間一応、住所や氏名を書かされ
る。
その後、再度、車に乗り滝の下流に回り込む。ここでグループ分け、グループ
名はfox。メンバーは、ベルギー人カップルと寡黙なkiwi男と自分の4人。落
差100mの崖を1人1本のパドルを持って、下る。石ころの道と木の枝を雲底状
に作った階段ばかりでバランスを崩すと結構危ない。皆汗だくになりながら下り
切る。
ボートと船頭にここで初めて出会う。そして、5種類だけの命令の説明。
Forward,Back,Turn(right,left),Hold on(しゃがんでロープに捕まれ),Get up。
急流ポイントがRapid11〜25までナンバーリングされていて、ロンプラには
その地図が載っている。結局、同乗したのは、前述の4人と船頭と副船頭各1人。
いよいよラフティングは、Rapid11か始まる。さすがにKiwiはベテランだった。
「ボートの外側の足をチューブの下に固定し、腰をチューブの真ん中より外側に
置き、パドルの水面に近い方の手は水面により近く握る。」そんな細かい指示を
くれる。確かにその方が実際に漕ぐ力にロスが無くなる。調子に乗ってきた頃、
Rapid14は歩いて通過。まだ、水位が高く、ここだけは通過できないほど危険
だからだそうだ。ボートは空で流す。どうするのかと思うとサポートのカヤック
の人が器用に乗り移って拾い上げるのだ。
イベントとして、途中、12mの岩に登って飛び込み。入水角度が悪く、大事な
所をモロに、、、。(この痛み。女性にはわかりません、失礼!)
2m級の大きな波は、さすがに最高難度を謳うだけの事はあり、何度か感覚80
度くらいが2回あったものの我らFOXチームは一度も振り落とされる事なく
Rapid21まで来てしまった。ここは緩やかだからと自分で飛び込む事を許され
てボートからダイブする。救命ジャケットと靴の為泳ぎ難い。なんとかRapid2
2までに拾い上げてもらってRapid25でfinish。
運もあるが、FOXチームでは、1人の落舟者も出さなかった。他のボートは、
同じコース取りで1,2回は落ちたそうだ。ベテラン3人の力が大きかった。船頭
は全4ボートのリーダーだったし、やはり、彼の的確な指示が良かったのか。で
も、自分は少し不満だった。実は、振り落とされたり、ひっくり返ってそのボー
トの下に浮かび上がったりする体験がしたかったのだ。残念。(途中、波の小さ
いコースと大きいコースの選択を迫られた時、kiwiと自分は迷わず大きい方を
選んだ。にも関わらずである。)
また、雲底の様な木の階段を登る。ずーっとこの100m級の壁の間を流れてき
たのだと実感する。でも、登るとヘトヘト。ワインが無かったので、サイの絵が
入ったビンビール(Raino beer)をもらう。3種類のハムの他、サラダもフルー
ツも全てが美味しい。

[SONG]
帰りの車の中では、途中ダート道でスタックして、車を押してから、なんとな
く一体感が漂う。サポートしてくれたザンビア人が歌(アカペラ)を何曲も歌っ
てくれた。リズム感とハモと変調が素晴らしい。次に、各国の歌を促されたが、
日本人の自分は「すきやき」2フレーズ。歌詞を忘れてしまった。世界に通用す
る短く明るい歌はないのか?と考えたがとっさに出てこないもんだ。(国歌は世
界一暗い)情けない。NZ(ガンバッテ〜)やAUSの歌のメロディは知ってい
た。

[ダンスショー]
 昼寝をして、昨日ドギーバッグにしてもらったハイティのパンをほおばる。太
股の筋肉がもう張っている。ウィルも自分も夜は予定がなくヴィクトリアフォー
ルズホテルで最後の晩餐という気分でもなかった。お互い今日はラフティングで
トド化している。ウイルが昨日見たと言ってたダンスショーの事を聞く。
ウィル「う〜ん、見る価値はあると思うよ。高いけど」
歯切れが悪かったが、何もしないよりはマシ!と思って行ってみる。
18:30〜20:00 US$15
感想;太鼓を叩いている老人と竹馬に乗っている人以外は学芸会レベル。これで
      2000円はもったいない。が、一見の価値はあるか。
部屋に戻って、ウィルに
TAKT「良かったことは良かったんだけど、高校生の演劇みたい。」
      (playの発音が悪く何度も言い直す。)
と言うと笑いながら同意した。

[英語について]
  ヒアリングと単語の発音については、毎回のことではあるが、海外に来て3日
目くらいで自分としては調子が出てくる。が、文章を話す点に関しては、旅行に
使うパターン化された文章はすんなり出てくるものの、それ以外は旅行の度に悪
くなっている様に感じる。
  この4泊の間、アメリカ人のウィルの連想力に頼り切って会話してきたことを
痛感する。極論を言ってしまえば、世界中どこだって、挨拶と感謝の言葉さえ直
前に仕込めば、必要な会話はボディーランゲージのみで旅はできると思う。そう
やってヨーローッパやタイの田舎は旅できたのだから。でも、それは、常に聞き
手が“聞こうという姿勢”を持ってくれなければ成り立たない。もっと込み入っ
た事を伝えようと思ったら、更に連想力・直感力が要求される。
TAKT「ゴメン。単語ばっかりで。クイズみたいに思っているでしょ。」
ウィル「はははっ、うーんそうだね。でも、文も結構あるよ。発音も他の日本人
        に比べれば良いし。」
予想の範囲内の(暖かみのある)社交辞令。意外だったのは、その後、
ウィル「でも、どっちかと言えばイギリス英語っぽいね。」
っと少し、不満そうに言った。(アメリカ人の「なんでも1番病?」)
(あれ?canをカンなんて発音はしてへんで。でも、、、荷物はlaggege(米baggege)。
予約はbookingとresavationを8:2くらいの比率で使っているなぁ。)
TAKT「そうかなぁ。」
(肯定も否定も出来ない。こっちとしてはイギリス英語かアメリカ英語かは大し
た問題ではなく、きっちりとした文章をしゃべりたい。そっちの方が先決だ。で
もまぁ、初めての海外旅行がオーストラリアで、そこで始めて実践したのだから
旅行英語の基本例文に含まれるにlaggegeや bookingの方がすんなり出てくる
のは、今まで気付かなかったが、自分にとっては自然の成り行きだろう。)
っと、うやむやな返事をしたまま、一人で納得していた。
  
  ウィルのおかげで耳は英語に大分慣れた。新しい単語も増えた。感謝!
  現地人の英語もシンガポールやマレーシアの訛った英語でなく聞き取りやすい。

[他社のラフティング]
  ウィルはShare Waterのラフティングに参加していた。値段は聞くのを忘れた
が、ジンバブエ側から出発、上陸し、パドルは漕がないで座っているだけだった
そうだ。結果論だが、自分はBPバザール(ザンビア側)でよかったと思う。ま
た、ウィルは、1回ボートが垂直になって振り落とされた。これは、羨ましかっ
た。
  お互いに羨ましい気持ちを分け合う別れの夜だった。

{6日目;5/20(火曜日)}

[ムーンライトレインボウ]
  ムーンライトレインボウ;日光で出来る虹に対して、月あかりで見える虹の事。
                          おそらく自分の造語だが、皆ほとんど一発で解って
                          くれた。
  前夜4時半に起きて、初めて月があがっている事を知った。半月以下だったの
で光量が心配だったが、キャンプサイトの警備のおっちゃんにムーンライトレイ
ンボウの見える可能性をひつこく聞いていたのだ。実は、キャンプサイトで日本
人は自分しか泊まっていない上、バブーン対策で派手な眼鏡止めを付けていたの
で、他の泊り客はチェックポイントを通る度にレシートの提示を求められるのだ
が、自分は顔パスで結構気さくに話す中になっていた。(もっとも、小学生が母
親に「今日、タイコウチとザリガニを捕まえたんだ。」「ふ〜ん、よかったね」レ
ベルの会話しかしてないけど。)
  実は、昔、目黒で月一で集まっている旅仲間の発表でVFAのスライドを見たの
だ。昼の虹の綺麗な写真を見せてもらった後、その時に聞いた
「運が良ければ、月あかりで出来た幻想的な虹が見れる」
と言われた言葉が頭の隅に宝物の様に残っていた。本当は、夜12時までは月が
出ていなかったのであきらめていたのだ。でも、でも、少しでも可能性を見つけ
てしまったのだ。好奇心が押し上げる気力で、4:30起床。首と太股がパンパン
に張っている。(腕と肩が筋肉痛になっていないのは、普段の洋弓の鍛練のタマ
モノか?)もし見れなくても、今日の朝で滝とはお別れだ。

[初めて犯した悪いこと1(不法侵入)]
  だれもいない道。線路を越え、ジンバブエ側パークに着く。当然、閉まってい
る。警備の人もいない。門は頑丈だったが、10mもはなれない金網の柵は、棘な
しだった。土台が崩れかかっていて、越えるのが難しかったが、短時間で、滝の
端にたどりつくことができた。昼間は簡単に虹が見えたが、悲しい事にその場で
見る角度を変えても、どんなに目をこらしても虹は見えなかった。
5:25 見納めに5分間。轟音と青白い滝を無心で見続けた。

[初めて犯した悪いこと2(ボーダー越え)]
  5:30  パークから300mのボーダーも誰もいない。10秒間、好奇心と自制を促
す心が葛藤する。もし見つかって「フリーズ!」って言われても、、、でも違う角
度で見れる所は国境の橋だけだ、、、最後の見納めだし、、、見なきゃ後悔す、いや
間違って撃たれたら洒落になんない。でも、橋まではジンバブエだ。自分勝手な
正当化が頭の中で行われ、、、金網の柵を越える。ジャッキーチェンなら手をかけ
てひとっ跳びの所、一個所足をかけた為にガシャンという音が鳴る。
  誰もこない。歩き出す。走り出したいが意識して、ゆっくりと歩く。最悪、見
つかっても言い訳できる様に懐中電灯を業とらしく点けて。
  400mは歩いた。後ろで不自然な鳥の鳴き声。、、、、バタバタ。大股の2人分の
足音。見つかった。(*o*)。ピューイ!口笛。鳴き声と思ったのは彼らの口笛
だった。
  立ち止まり、距離200m位でゆっくり振り返る。銃は、、、構えてない。驚くほ
ど冷静に待つ。やがて息を切らした警備員が到着。
TAKT「橋だけ行って、滝とムーンライトレインボウだけ見たかったんだ。ザンビ
      アに入るつもりはない。」
落ち着いてゆっくりと単語を紡ぐ。
警備「ボーダーは6時に開く。行っては駄目だよ。」
怒りは感じられない。びっくりするほど穏やかな語り口だ。
TAKT「ムーンライトレインボウを一目見たいだけ、、、」
無言で首を振る警備員。(もし、ヨーイドンでダッシュしても身体能力で負ける
なぁ。引き離しても銃持っているし。この先の橋の手前にも警察のテントがあっ
たし、叫ばれて挟まれて、ジ・エンド、、、可能性は0やな。)
TAKT「わかった。もどるよ。」
観念した。
TAKT「建物の前で待たせてもらって良い?」
あえてボーダーと言わなかった。
警備「オフコース」

[寛大さvs大胆さと冷静さ]
  歩きながら、ジンバブエエ人の寛大さに感心していた。
          怒らない。+金も要求しない。
同じアフリカでも自分の知っているエジプトやモロッコだったら、確実に怒鳴り
合い、バクシーシ攻撃にさらされているはずだ。北と南では全然違うのだ。同じ、
イギリス統治の時代があったのに、、、この大きな違いは宗教の差?
  5:39〜6:11  ボーダーの開くまで、寒くて何もやることがない自分は、その他
にボーダーを越えてしまった大胆さと見つかった後の奇妙な冷静さを回想して独
り笑いをかみ殺してた。こんな自分もあったのだ。

[サンライズ]
  6:11  見覚えのあるボーダーの係員が4WD2台に分乗して到着。なかなかドア
を開けてくれない。金庫から仰仰しくカスタムのはんこを2個出した。やっとド
アを開けてくれた。やっと、ハンコをもらった時にはもう、まだ出ていない日の
光が月光よりも強くなっていた。まだ、ボーダー越えの件を知らないカスタムの
人は「サンライズを見に行くのか?」と言った。(そうか、それもいいな、橋は
そういうスポットだったのか?)と思いつつも、
TAKT「Moon Light Rainbowが見たかったんだ。本当は。」
と答える。我ながら諦めの悪いヤツである。
  時間はあまりなかった。7:15にはツアーのピックアップが来る。早足になる。
後ろから荷台付きワゴンが来て、
「・・give you lift.」
という。(聞きなれないフレーズだけど、乗ってけって言ってるのか、、、)
TAKT「橋までだし、200mもないよ。(だから歩くよ)」
「いいから乗ってけよ。」
TAKT「Thanks.」
本当に200mだけヒッチさせてもらう。
それだけの事だがお互いの気分が良くなるのが不思議だ。

  橋から見た滝はミスティだった。早朝で風が少ないのだ。サンライズも6:45
まで待たなければならなかった。だが、綺麗だった。空の色の変化がたまらなく
美しかった。

6:55  急いでボーダーに戻る。こういう時にかぎって乗っけてくれる車はない。
目が合った人間は口々に「サンライズ見れたか?」「サンライズはどうだった?」
とフレンドリーに声をかけて来る。
TAKT「Yes!」「Great!」「Beautiful!」
相変わらず貧弱なボキャブラリーに自嘲しつつも、皆の意味深な笑い顔は見逃さ
なかった。ボーダーの人間は皆、今朝の件を知っている様子だった。いたずらっ
ぽく笑いながら、
TAKT「Bye,Bye!」

[TAXI 1.5km]
  7:05  仕方なくタクシーを使う。1.5km。(「Z$40。高い。」)Z$20に。

[ウィルとの別れ]
  干してあった物をバックパックに突っ込みながら、別れを言う。結局、お互い
毎泊追加しながら4泊もいたのだ。ウィルに「Have a good trip!」を先に言わ
れてしまったので、「You too」しか言えない。なんか気の利いた言葉を言いたい
が。黙って握手。放した時
ウィル「See you、、、future!」
ミュージカルっぽく声を張り上げた。

[ラフティングのビデオ]
  7:23  BPバザールに行く。1日チョベNPへ行って夕方帰るツアーだが、自
分はそのままチョベNPの周辺で泊まる。ホテルもここから一応予約してある。
  昨日のラフティングのビデオを見せにツアーの人がやってきた。NTSC方式だ
と聞いたし、ウィルからShare WaterのビデオはUS$35と聞いていた。取りあえ
ず見せてもらうが、結構、皆平均して映っているものの自分が多く映っていて照
れる。スペアの黒縁の眼鏡に青いヘルメットが似合わない。

[VFAを出発]
そうこうしているうちにPick upのワゴン車が来た。ビデオは買わなかった。
最初からそのつもりだった。(タ●打って悶絶してる様子が写ってたら、少し考
えたんやけど。)
 こうして、あわただしくジンバブエのVFAを去った。


続く−−−−−− Africa THE South 19Days ― part4へ −−−−−−


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