ベトナム縦断*旅日記 第3日

  
  −−−−−− ベトナム縦断9日間旅日記 ― 第3日 −−−−−−

{3日目;9/21(月曜日)}

[クーラー]
 5:30 朝起きると鼻がグズグズ言って、だるい。風邪を引いたみたいだ。市内
観光にあまり情熱が持てなかった事もあり、2度寝をする。
10:00 ムクムク起き出す。鼻だけはまだ本調子ではないものの取り敢えず動
き出す。風邪のせいか水シャワーが冷たく感じ、すぐ止める。
11:00 宿主のタンさんにフエ行きの国内便のチケットを尋ねるとまだ入手でき
ていないと言う。
TAKT「今日は月曜だから自分でベトナム航空のオフィス行くよ。金返して。」
タン「もう電話でたのんであるから、夕方には、、、。」
無茶苦茶慌てて声まで上ずっている。やっぱり、土日は、チケット手配ができな
かった様だ。初日、状況が分かってなかったとはいえ一旦頼んでしまったのだ。
仕方ない。
ブン・チャオというつけ麺のベトナム語をガイドブックに書いてもらい、食
べれる場所が、鉄道駅に行く途中にたくさんあるという事を聞いて、ぶらぶら歩
きだした。

[買い物]
帽子    :鉄道駅に行く途中、薄地の白の帽子を1万ドン(=100円)で購入。
          店のオバサンは誠実で上品そうだったので値引き交渉しなかった。
         「CK」と書いてあるシンプルなデザイン。
          昨日の日差しを思い返して、先ず、必要なものと思った。
Tシャツ:そのまま、寄り道しないで、一番近くの観光名所・文廟を目指す。
          その門前で自称女子大生のTシャツ売りに付きまとわれる。
          刺繍入りで最初US$5-->値引いて$2.5。
          縫製はあまり良くないが取り敢えず着替えを1枚増やす。
          日中は、歩くのが嫌になるほど暑い。
           汗をかくので一日2枚は必要と思った。

[文廟]
入場料は1.5万ドン(=150円)この国の物価からすると結構高いと思う。中に
は、孔子+(何とか)*子が4人。金色と肌色のテカテカした彫像が祭ってあ
った。見所はここが大学だった頃の卒業名簿が石碑になっていて、その下敷きに
なっている亀の表情くらいだった。
ここで、ばったりと初日にエアーポートタクシーで一緒になった背の高い新
社会人に会った。インド・タイ・カンボジアけっこうアジアを行っている。昨日、
O叔の話にも鉄道駅で会ったと登場したKA君だ。今晩出発の夜行でフエに行く
事を聞きチケットを見せてもらう。AC付きのソフトベッドでS1という急行で
確か74万ドン(=7400円)だと言っていた。急行といいつつ14時間もかかる。1.5
時間、US$86の飛行機の選択も間違ってはいないと納得する。
今日は、市内観光をするんだ。という話をしたら、年中無休の観光場所以外
は9割以上月曜日が休みということを知らされた。ガイドブックを開いて確認。
あっちゃー、やってもーた。ギリシャ以来の大失敗。ミュージアム関係が月曜休
み、って事は調べりゃ、すぐ、分かるはずなのに。自分のバカ、、、。少なからず
ショックを受けた。
KA君は、レンタチャリ(1万ドン)で周っていると言う。昨日も市内を歩いて
いたけどバイタクを3回も使ったとも言っていた。結果論だが、月曜でも休ん
でいないこの観光場所・文廟で出会ったのは確率の高い偶然だった。KA君とは、
「またフエで出会うんやろうね。」と言いつつここで分かれた。

[ドラゴンフルーツ]
すーっかり、マトモに観光する気が失せた。お腹がすいていた。鉄道駅への
方角だけ意識して歩いていると、写真で見た赤い実、緑のガクが目に飛び込んで
きた。相場がわからないが、1個手に取り、1万ドンを7千ドン(=70円)に値引
いた。小型のメロンくらいある楕円型の実。中身がキウィに似ている事は、知っ
ていたので、早速その場で半分に切ってもらう。実際、中はキウィで緑色の果肉
の部分が白色をしている。この段になってゴソゴソ鞄の中のナイフ付きのスプー
ンを探したが見つからなかった。隣のオバサンが察してスプーンを差し出してく
れた。半分に割れればキウィと同じくスプーンで穿りだそうと思っていたのだ。
ウンコ座りをしていると椅子を出して薦めてくれた。
味は、薄く甘い。水分がほとんど。さわやかな酸味がある。小型のメロン大
の果肉を柔らかい赤い皮の部分まで一気に食べた。朝から水しか取っていなかっ
た腹はさらにタプンタプンになった。薄味なのでもう一個いけそうだったが、つ
け麺の為に我慢した。

[名もない廟]
その裏手にガイドブックにも乗っていない小さい廟があった。中には、象に
乗って剣を天に向かって突き上げている武将、騎馬武将、龍の3石像があった。
他の廟とは違った感動を得て、ひょっとしてベトナムの有名な観光スポットは、
見るべき物がなく、逆に市井に紛れた所にこそ自分にとって琴線に触れる物があ
るんじゃないかという気がしてきた。ハノイでマジメにガイドブックの観光スポ
ットを見歩くという未練はこの時点でキッパリと無くなった。第一、ホーおじさ
んも個人的に面構えが気に入らない。顔で決めちゃあ悪いけど(^^;)

[鉄道駅]
小さなマーケットを抜け、鉄道駅にたどりつき、生気のない広場を見回した。
やる気のない窓口・読めない表・多分1日数本しかこない鉄道の線路・それ
が来たときしか開かないであろう閉まっている門・無言のまま薄眼をあけて寝転
んでいる20人の人間。まるで、ボロを纏ったトドのコロニーみたいや。
ただでさえ、暑さと体調の悪さで観光する気力が失せているのに、その怠惰
さに引きこまれそうな目眩を感じ、駅を後にした。

[皆寝てる、、、]
小さなマーケットに戻り、ブラブラ歩く。珍しい物もあるが、穀物が中心で
その場で試食できそうな面白いものはない様に見えた。さらに、店の女主人は皆、
商品棚の上に横になって寝ている。良く働くからか?or汗かくからか?太って
いる人は希である。売る気あんのか?でも、この蒸し暑さじゃ、動いている方が
自然の摂理に反しているのかもしれない。現地人は5時に起きだし、暑くなる
と休み、夕方から夜にかけて活動的になる。自分も合わせようと思った。
つけ麺食ったら、ホテル戻って寝て、夜20時からの水上人形劇を見て、、、そ
んだけでいい。ハノイは。

[ブン・チャオ(つけ麺)]
つけ麺にこだわる訳は、ベトナム関連のHPを見ていて、「北部でしか食べれ
ない」って下りを読んだからだ。大体、自分は海外でつけ麺に出会った経験はな
い。明日は中部の古都フエに移動である。ハノイで注目していたのは、昨日のビ
ッグドンとブン・チャオのみ。は、言い過ぎでもない。

TAKT「ブン・チャオ?」(つけ麺を食べる仕種)
果たして、ブン・チャオは聞いてすぐに見つかった。低いテーブルにプラス
ティックの椅子が10席ほど。テラス形式。いや、青空半屋台。先客は3人だっ
た。
「ブン・チャオ?」と言いつつ人差し指を1本立てたら、手をパーに広げて答
えてくれた。(あぁ、5000ドンね。)うなずいて、席につく。ハーブ山盛りのど
んぶり、つけ汁、麺山盛りの皿。うまい、早い、安い、大阪よりええ。
つけ汁:少しの酸味、出汁のきいた塩分濃い目の味。色は薄いミリン色。
麺    :白い半分透き通った色の直径2mmの細麺。米粉、だと思う。
        触感は縮れたそうめん、って感じか。
ハーブ:赤紫蘇入り。それだけ食べても結構うまい。
つけ汁に氷が入っていたのが気になったが、しょうがない。南方でなる細菌系の
下痢を警戒していつも氷は注意して避けるのだが、暖かいつけ汁はまずい。なっ
たらなったでエクアドルで買った最強の下痢止めを1発かまそう。一気に食って、
赤紫蘇だけ残らず食ってから席を立った。まずまずのボリュームだった。
  帰り道、コンタック(18000ドン=180円)とヨーグルト(3500ドン=35円)を買
って、部屋に戻った。

[シクロ]
  15〜18時、寝た。ロビーで少し腹ごしらえして、直線で2km先、湖の北東の
端に位置する水上人形劇を目指して流しのシクロ探し、少し相場よりも高いと思
ったが10000ドン(=100円)で決めて行ってもらう。言い値は20000ドン、少し
古いHPでの相場は5000ドンだった。少し甘めの交渉、歩けそうだったが自重。
体調が悪いと普段、楽しめる事も苦痛に変わる。粘りのない自分に腹を立てなが
らも我慢する。
結構時間をかけて脇道を駆使しながらたどりついた。どうもバイクに圧され
て一方通行やシクロ通行禁止の区間が増えているのかもしれない。安いけどハノ
イでもあと3,4年でお払い箱かもしれない。
  シクロとは、自転車の前輪が2輪2席のベンチになっていてお客を乗せるタ
クシーのこと。料金は交渉制。マレーシアのペナンでも見た。ゆくゆくはベトナ
ムでも観光地専用に特化するしかないんじゃないかと思う。後にホーチミン市(旧
サイゴン)の南方70kmのミトー辺りでは、座席が向かい合わせのタイプもあ
ると聞いた。場所によって形が違うようだ。

[パペットショー(水上人形劇)]
席は1等席(40000ドン)と2等席(20000ドン)の2種類でセンスのない扇
子付き(ウっ、ギャグのセンスの方が、、、)。1等はカセットテープ付き。時間ギ
リギリに着いたので、1等でも席は端であまり良い席ではなかった。
中はクーラーがちゃんと効いていて200席くらい。上海で見た京劇とは反対
側の向かって左手に楽器の演奏者や歌手がいる。劇は時間通りに始まった。幅
15m見える部分の奥行き10mの水上を舞台に人形が踊り出す。始まって20分
くらいの間に空席の目立つ中央の予約席も埋まり、チャンジシートを断られた訳
が分かった。水の色は川や湖と同じく薄い緑褐色。同様の色に塗ったワイヤーで
舞台背後から操作しているのがチラチラ見えた。5体の人形、魚達が交錯したり、
飛び跳ねたりできるのは驚きだった。キッチュな表情の人形がコメディックな動
作をするので、原理はともかく、素直に楽しもうと思った。上海で見た京劇ほど
地元民が駆けつけている様子はないのだが、70%観光客もまずまずウケて楽しめ
るエンターテイメントだった。
  最後に演者15,6人が膝下を濡らした姿で水のステージ中に勢揃いしていたが、
その爽快な笑顔は素敵だった。恐らく1時間、汗だくになって人形を操作してい
たのだろう。女性もいたが、皆美人だった。

[ガールフレンドをウリ?]
帰り、湖畔を歩いた。歩きながら流しのシクロを探していた。が、21時を過
ぎるこの頃にはまったく見つからなかった。バイクと自転車の洪水が右手を騒々
しく駆け抜けていく。
「この洪水をゆっくり歩いてと横切りたい。バイクかチャリで一緒に風になりた
い。」
これが、自分にとってベトナムに来たメインテーマかもしれない。
湖畔の暗闇に目が慣れていくにつれ、カップルが多いのに気付く。
若い男の白目が光った。仲良さそうに隣に座っていた綺麗な長い髪した20才前
の女の子を指差し、
「US$50、OK?」
目が凍った。
(カップルだろう?。どう見ても、、、自分のガールフレンドを、、、よりも金
なのか?)
「NO!」
静かに低く語気を強めて言った。歩く速度は変えない。
なぜか、無性に腹がたった。

 (ベトナム人ってなんなんだ?なんなんだ?なんなんだベトナム人って?)

半ば怒りながら歩いていて、気付けば、宿に到着。水シャワーが酷く冷たく
感じる。同室のO叔が気を使って、「クーラーを止めよう」と言ってくれた。で
も、止めた時の蒸し暑さは日本の熱帯夜の比ではない。
TAKT「じゃ、眠る直前まで付けて、消して寝よう。ありがとう。」
遠慮している余裕はなかった。

  明日のチケットは11時発。7:30までは寝れそうだ。早く風邪直そう。

続く−−−−−− ベトナム縦断9日間旅日記 ― 第4日へ −−−−−−


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