上海周辺旅日記 第2日
{photo:t802_1黄山.夕方、曇り、始信峯近く}――――― 上海周辺9日間旅日記 8-2.第2日 ――――― 1997年9月11日 [早朝] 4:50 起床 頭だけシャワーを浴び、素早く寝ぐせを直す。フロント前のソファーでは、ボー イがぐっすり眠りこけている。デポジットがあるので、肩を揺するとびっくりして 飛び起き、フロント嬢を起こしに行った。髪の毛ボサボサの美人でないフロント嬢 がおもいっきりブーーーーたれた表情で事務的にキーと領収書と50元の交換をす る。壁にかかった東京時刻を差した時計は止まっていた。伝えようとしたが、2人 とも英語はダメらしい。 とにかく外へ。空がまだ暗く青い。空港へは両側4車線の道が一直線に伸びて いる。建物は見えないが、迷いようがなく、写真を撮りながら15分ほどで空港に 着いた。途中会ったのは、短パンだけでジョギングしてた人と、老人の2人だけ。 5:30、まだ職員も来ていなく、ロビーにも入れない。客はドアの前で 6+1+3+2人植え込みなどに座って待っている。階下で掃除している箒の音だけが している。 5:50、ロビーのドアが開き、中に入る。 6:00、チェックイン開始。並ぶ所を間違った上、横入りもあり、10人目くらい に搭乗券をget。どうも、オーバーブッキングの心配は取り越し苦労だったようだ。 待合い室のTVでは、卓球をやっていた。日本から持ってきたポッキーをポリポリ 食べながら、ボーっと待つ。 6:40、バスに乗り込む。バスの中で、日本人顔だと思ってた人が関西弁をしゃべ った。あの2人は日本人だな。パックじゃなかったらシェアしようかなと思いつ つ、タラップを登っていった。 7:00、予定の乗客が全部乗り込んだのか、予定より5分早くTakeOff。定刻より も早く飛び立つ飛行機は初めてだ。このクラスにしては平均の32秒で助走が終わ ったので、腕も信じてよさそうだ。それにしても乗車率50%以下。一ヶ月前にfull って行ってたのはハッタリ?ホントいい加減な国&会社だなと思った。 [機窓(上海近く)] 平屋が多く、碁盤状ではないが、グニャグニャ縦横に用水路があり、その周囲に 家が寄り添っている。屋根は反射で銀色に光っていた。それらの周囲は全て肥沃な 田畑が広がっていた。 [機内食] ・薄く、変に甘い、ちょっとウって気持ち悪い感じの、メロン・オレ。 ・菓子パン2ヶ 鰹節のふりかけに一見見えるチョコ入り スイートポテト入り ・コーン(玉米)スナック (味が良かったのはこれだけ) ・干しプラムのシロップ漬け オブラートもどきのビニールに一ヶずつ丁寧に包装されている。変に甘い。 [機窓(黄山近く)] いくつもの山と松が雲や霧の間にチラホラ見えた。期待に胸が膨らむ。 [黄山空港] 50分で到着。タラップを降りると、タクシーやワゴンやホテル名が入ったワゴ ンが止まっている。ここまで来る日本人の目的は、十中八九、同じだ。日本人らし き2+4人の内、一番くたびれたバッグを持っていて、旅慣れていそうなカップル の男の方に声をかける。 TAKT「黄山までどうやって行くか情報もってます?」 男 「いや。でも自分達名古屋から6人で来ていて、中国語ペラペラなのが仲間 に居るから、、、」 皆、バッグが小さくて旅慣れた感じがする。久しぶりの関西弁が妙に心地良い。 席に余りがあればシェアさせてもらおうと思った。手洗いを済ませ、誰もいなかっ たので中国式の囲いを撮影した。 戻ると交渉が始まっている、どうも膠着状態っぽかったので、援護射撃のつもり でタクシーにも手書き交渉を始めた。 TAKT「湯口、7人、 元?」 Taxi「1台車、240元」 TAKT「4人、3人、2台車」 Taxi「200元+200元」 6人組にタクシーだったら、2台で400元と伝えた。一方、ワゴンは、380元。ど うも、タクシーにしろワゴンにしろ一人の男が仕切っているようだ。皆仲間では 戦わないし、底値も堅い。なし崩しに6人組に合流し、ワゴンに乗った。 [自己紹介] ワゴン内で自己紹介が始まる。 TAKT「三本 拓人。昨日、東京から上海に着いたばかりのプログラマー。」 6人は、同じ会社の同じ工場(三重県)で仲良くなり、何回か旅をしているそうだ。 YA「福建省出身17才まで育ち、北京語も関西弁もペラペラ。MYさんとは夫婦 別姓のおしどり夫婦。冗談が多く、髪型や風貌は大学生としても通用する位 若いものの、やたら古い日本の歌を知っていたり、考え方や物腰に落ち着き を感じる。」 MY「YAさんの奥さん。ワンレンで、一見バーが似合いそうな、キリリとした感 じだが、中国人から見て韓国人に見られる事が多く憤慨していた。 英語がペラペラ。」 AS「雨でシワシワになった鞄が印象的(中学時代自転車通学でああいう鞄を自分 も持ってた)で、やわらかでおおらかな言動をする。常にフィアンセである FAさんを気遣っている。」 FA「ASさんのフィアンセ。少女マンガから抜け出たようなホンワカさが漂って いる。自己紹介でまだ 独身よ っとばかり姓名を行った語気が一番強かっ た(テレ?)。」 JG「通称JACK。車に弱い。個人旅行に慣れていないようだ。無造作に荷物やむ き出しのカメラを置きっぱなしにしてしまう事がたびたびあり、危なっかし い。が、きっちりとした性格を信頼されて旅行中の会計係を任されている。」 GA「通称ガンジー。インドも経験済み。山やモンゴル近辺(呼和浩特:フーフーホ ウトウ)の話から旅行経験の豊富さがにじみ出ている。ちょっと頭が薄いこ とが仲間内で笑いのネタになっている。」 以上7名が後3日間、旅の道連れとなった。(上記は3日間に感じた歯に衣を着せ ぬ印象、はたして自分はどういった印象で見られているんだろうか?初対面で MYさんに「学生さん?」なんて言われてしまったし。) 6人の推定年齢は、後々の会話から30〜35才の間で固いと読む。 [屯渓] 黄山空港から黄山の麓まで2.5時間かかる予定だ。その途中、20分ほどで屯渓 という名の宋時代の古い町並が見れる。YAさんの交渉のおかげで、15分ほど立 ち寄ってくれることになった。門や家の形、色は歴史を感じる。が、土産物屋が道 の両脇にずらり。日本でたとえるなら、京都の清水寺へ行くまでの道+瓦+洗濯物 の風景だ。 これから山に入る7人は、見事に何も買わず。点心とジュースを分け合って、 車に戻った。グレープと思ったジュースは、炭酸抜きコーラ。オレンジジュースも 変に甘かった。 [車窓(昼)] コンクリの道の真ん中をゴロゴロ走る。車すれすれに行き交う自転車、8人乗り トゥクトゥク。両側2車線中の1車線を使ってもみ藁を干す人。道の両サイドは、 牛とあぜ道。広がる水田。たまにニワトリ。自転車をのける為のクラクションがう るさいがいい感じだ。イメージ通りの中国って感じだ。 たまに見える村落では、女の娘が2人、膝までドブ川につかり洗濯をしていた。 しばらくすると、川と山と水田の自然だけの風景に変わる。家さえ目にはいらな ければ、岐阜県や長野県の木曽川や長良川って言われても信じれる風景だ。 車は、時速60〜80 Kmで快調に飛ばしていく。左ハンドル、右車線ながら、常 に真ん中を走る。カーブの手前は必ずクラクション。向こうから音が聞こえなけれ ば、スピードをほとんど落とさずつっこんで行く。時々、対向車とぶつかりそうに なる。マジで怖かったのが2回。対向のバスは30度位傾きながらすれ違った。 水田の藁の積み方も日本とよく似ている。(古来伝えられたのは日本だから当然 かも)パオ型、長屋型、傘型。馬糞混じりのにおいも、小学校の登校時(奈良県大和 郡山市)のにおいがして懐かしい。 [云谷寺] 当初、湯口という名の麓の温泉町に一泊し、バックパックの大きい方を置いて、 ディバッグだけで登る予定だったが、直接ロープウェイまで車で来た。時間はまだ 10:30。運転手は別れ際に雨が降ると予言。6人組は当初から、今日中に山頂泊の 予定だ。少し考えた。バックパックも容積は大きいが、今回の旅のメーンが黄山だ から、服は1セットを除き全部捨ててもいいモノを持ってきて減量をはかってい る。山頂での距離が読めないが何とかなるだろうと考えた。 ワゴン車がつくやいなや、群がる人がいっぱい。窓から顔をつっこみ不躾にこち らの荷物をチェックする眼光鋭い男(=荷物持ち)。地図売り、杖売り、竹売り、自 称ガイド。下車後、たばこを吸い出したASさんが磁石と砂鉄の様な状態でトイレ までくっついてくる。日本製のたばことカチカチライターが人気だ。全員5角(=0.5 元)の洗手間を済ませると、食事を取りやめ、ロープウェイの長い列に並んだ。 話に聞いていた外国人料金も外国人用特別入口も無くなっており3時間待ちの 後、ようやく約30人乗りの満員のロープウェイに乗ることができた。結果論だが 4列の内1列に縦長に並んだのもまずかった。グループで同時に乗るには4列横に 並べば良かったかも。逆にいうと、係員が正確に4列均等にカウントして交通整 理していた。 [山上の宿] 食事を後回しで、宿の確保だ。歩いて5分で招待所を見つける。が、外国人を 泊めるには北海飯店の紹介状が必要なようだ。やむなく、北海賓館まで歩く。30 分後、ムチャりっぱな大きなガラス張りの建物が見えた。北海賓館はfull。隣のド ミ(1bed100元)を紹介されたが、ロビーに2段bedが10台ほど置いてあり、安全 面に非常に問題のある作りになっていた。前の招待所は、もう一段汚い。壁や屋根 が波型のトタンで出来ている。公衆電話で予約を取ろうとするが、交換機が壊れて るとかで使えない。北海賓館にもう一度戻って交渉。本当に満室のようだ。賓館内 の公衆電話も使えなく困っていると紳士然としたボーイが、ホテルの電話を使わせ てくれた。 これで、さらに歩いて15分のところの西海飯店に開きがある事を確認し、飯店 に着いた時、土砂ぶりの雨になった。ガイドブックでもツインUS$100もするホ テルだが、横になれないよりはマシだ。最低でもツインは960元(US$120)。中国 のインフレ率(年20%)はすごい。YAさんが隣で交渉している。言葉はわからない が部屋がすんなり採れている様子ではない。雨もきつくなってきた。崖下にさっき 覗いたトタンの招待所より少しマシな宿っぽい建物が見える。(話に聞いていた中 国人用の宿に違いない。ここがダメだったら、最悪あそこしかないだろう。女性に はつらいかもしれんけど、現状では、、、)考えを巡らせていると、取れたとの答 え。しかも、7人1部屋で640元(最初US$の間違いかと思った。) ちょっと湿気の多い、カビ臭い長方形の部屋に青色の細いパイプ2段ベッドが4 つ。2列に連結されていた。YAさんの話では、外国人用はfull。雨がひどくなっ て、仕方なく中国人用に泊めさせてくれた。というのが真相のようだ。NZのルー トバーンのハット(山小屋で60人マットで雑魚寝)に比べれば上出来だ。 3:30、ようやくホテルの食堂で昼食にありつけた。五星BEERがしみる。少しラ イチの香りがして苦みも少ない。BEERが苦手な自分にとっては、素直に美味し いと思える数少ないBEERだ。暖めなおした豪勢なランチが7皿。豚、鶏、魚、 野菜、山の上とは思えない食材。濃いピリ辛+油ギトギトで似たような味だが、ご 飯も茶もスープもうまかった。中国へ入国してから、機内食−ポッキー−機内食だ ったから初めてのマトモな食事だ。しかも、独りで食事していないこと&回すテー ブルがうれしい。まだ、中国の物価を知らない自分にとって、今回の食事(7人で610 元)は安かった(現に日本の半額以下)と思いこむことにした。 [散歩] 雨が上がったので、夕方5時から体力や思い入れを余している男5人で始信峯 を目指した。太陽は沈みかけているが、曇っていた昼間よりだんだん明るくなって いた。霧は少なかったが、崖と松が雄麗壮大で来て良かったと思った。帰る途中、 陽も落ち、すっかり暗くなった7時頃に北海にさしかかったが、仕事を終えた(?) 従業員が制服のまま、まるで小学校の昼休みのように、バスケ、バトミントン、卓 球で遊んでいる。飾らず、一生懸命、無邪気に遊ぶ仕事人をちょぴりうらやましく 思った。 西海で石の椅子に座って青島BEER(普通の味、山上で7元)を飲んだ。その横で も卓球しているのを見て、良く球が見えるなあと感心した。宿の周りには、赤いネ オン?が床近くと屋根に這っていた。澤の音が大きく心地よく聞こえてくる。空を 見上げると傘をかぶっていない月が綺麗に見えている。明日は晴れて日の出が拝め そうだ。 散歩して腹を空かせてからDinnerという話は、誰からもむしかえされること無 く、そして、鉄管が上でコの字になっているだけの共同シャワーは誰も利用しない まま、朝4:00に目覚ましをセットし、21時に寝床に入った。 疲れていた。布団の中でジーンズを脱ぐ、ふくらはぎの筋肉がちょっと張ってる な。布団がしめっぽい、、、。いつも山で痛める膝上は全然大丈夫だな。もう上で 鼾が、、、。でも、寝れるな。、、、ZZzzzzz。 [本日(9/11)の主な出費] ワゴン(屯渓−云谷寺) 55元 ロープウェイ 40元(ちなみに往復70元) 入山料 65元 食事(Lundinner) 87元 宿代(西海飯店ドミ) 92元 なんとか400元/1日ペースをキープ。シェアしてくれた6人組に感謝。 ――― 上海周辺9日間旅日記 第3日 へ つ・づ・く ―――
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