アフリカ南部の滝とサファリ 第6編

{photo:t906_8Moremiyu モレミ・オカバンコデルタキャンプの夕景}

  
  −−−−−− Africa THE South 19Days ― part6 −−−−−−
                  オカバンゴデルタ(モレミ地域)


{13日目;5/27(水曜日)}

[騒々しい朝]
あまり疲れていなかったのか、だんだん体力が上がってきているのか、はわか
らないが、早くに目が覚めた。時計は4時。未だに空は明んではいない。なのに
鶏は喉全開で鳴き叫びまくっている。ドンキー(ロバ)もあちこちで「ブーキー
ブキー」うるさい。
二度寝したいのだが、うるさすぎて出来ない。眠れないまま明るくなったので、
一度トイレに立った。そのとき、門の隙間からロバ2体が見え、なんであんなに
うるさいのか分った・・・。交尾中。声をあげているのはメスの方。「キー」っ
てのは息を吸いながら発している声だった。自分が昼間見たオスのナニは長さ
50cm、直径4cmくらいだった。(因みに色は黒)どう聞いても悲痛な叫びだった。
でもその時間は短い。大抵もって15秒程度だった。もぅっ、あっちでもこっちで
も何回も、朝っぱらからお盛んなこって。
{photo:t906_2Donkeys 
  見っえるっかな?
    見っえるっかな?
      ロバのナニが〜。 ---------> 実寸 **cm  答えは、↓}

天の川が奇麗だ。

[モレミツアー]
  今日から参加するツアーは、空港前に出張所があるOkabango Tour Safariに
アレンジしてもらった4泊5日ツアーだ。
貸しテント+GameWalkingのガイド料+3食   (US$50/night)
         (因みに小屋ならはUS$100)
セスナ往復                            (片道15分US$120)
の計US$320分のPula(ボツワナの通貨1Pula=40円弱)を払った。帰りのセスナを
マウン->ジョハネスバーグの16:30のフライトにコネクトしてもらった。だから
後は、2.5日間かかる帰路につくまで時間のムダ無くフルに遊べる。今日のツア
ーは21人の団体が4日前にドタキャンして潜りこめた。この予約のとき、この会
社の兄ちゃんは、
「Good News!」と言った。
TAKT「なんで?こんなに大量にドタキャンされたら困るでしょう。
     だから君に取ってはBad  Newsでしょ。」
兄ちゃん「いいんだ。その分また客を呼び込めるから。」
がっかりという表情は全然みせず、こともなげに言ってのけた。給料に関係ない
からか? or そういう大らかな性格なのか?自分にとってその対応はとても優
雅なものに思えた。とはいっても、日本にそのままスライドすれば、通用しない
程非効率的な仕事っぷりなんだけど。

[ゲームフライト]
出発の10:30までは、絵葉書を書いて過ごした。ゲームフライトは、1200ftの
低空を飛んでくれた為、15分ながら象や鹿系を沢山見ることができた。
砂地の空港に降り立つと、彫りの深い黒人と元ヤンキー風のデブった白人が迎
えに来ていた。そこから林の中の砂道を15分歩いてOddBall's Camp Siteに着い
た。

[諸注意]
ついてすぐ、大柄で長髪を後ろに紐で括っているボスが
「私はピーター、5分程話をしよう。」
と言ってきた。
少し真剣な面持ちだったので何かと思ったら、
「このCamp Siteは囲いがない。だから、動物が自由に入ってくる事ができる。
Walking Safari中はガイドの側にいて指示に従うのがベスト。でも、 Camp Site
内では、これから話す注意事項をしっかり覚えておいて欲しい。」
とゆっくりとした低音の渋い声で説明が始まった。


 <もし、生身で野生動物と出会ってしまったら?>
動 物 教わったこと コメント
猫系 じっとして絶対動かない事(stay)。
子供は好奇心 が旺盛で足元にじゃれてくる事もある。
が、恐い のは神経質になっているその母親だ。
度胸を試される
カバ,水牛,ワニ 走って逃げ、登り易い木を見つけ、登る。 群れのバッファローは怖くない
(むこうが逃げていくから)
木に登っても、怒っている時はその木を倒される。
だから、ひたすら走って逃げるしかない。
本気で追いかけられて一番恐い
[Walking Safari in Moremi (1)]
昼食後は暇だった。先日のWalking Safariの教訓から、ディバックの中には、
水を用意。動物の本も入れていた。準備万端、やる気満々の状態ながら、スター
ト時間が分からなかったので、ずーっとテラス付きのバー兼レストラン(以下、
テラスと略す)で過ごした。
手持ちぶさたな時間は、先に来ていたおじさんおばさん連中と話したり、ガイ
ドと話したりして過ごした。ディバックの中のペットボトルを何気なく見つけた
ガイドは、しわがれた声で
「Good.」
とだけ言い、右手親指を突き立てた。
結局、ツアーは夕方4時頃にスタートした。

ガイドの2人を紹介する。
 ハブヨ:始めに迎えに来てくれたガイド。46才。暑いのに、いつも茶色い
       毛糸の帽子をかぶっている。髪の毛はブッシュマンカットの黒色。
       気配りは細かいが、老人客の主張には弱い。しわがれた声と黒い
       皮膚に深い皺、そして、力の入っていない腕の振りで飄々と
       ゆっくりとした歩き方をするので、最初60才位と思っていた。
       会話していると結構、ボケをかましてくれる。また、動物の説明は
       何度も念を押して話し、safari中にハリネズミの刺等を持ち帰ろう
       とすると静かだが、強い口調で「Don't take!」と言う。
 ハリー:聞き取り易い英語を話す。眉間の皺や笑った時の笑窪が特徴。
       初対面の印象は25才だが、本当は37才。ハブヨよりも感情が顔
       に出やすい為、最後の方は何を考えているか手に取る様に良く分
       かった、と思う。子供の様に純粋な心を持った大人という印象。
       ガイドの経験は9年。動物を絡めたギャグに素直に反応してくれる
       のがうれしい。

実は、この旅行の1ヶ月前に友達から電話でこのデルタでライオンに150mか
ら40mに急接近され睨めっこした話を聞いていた。ので、そのことを少し思い出
して意識的に緊張感を150%位に引き上げ、注意深く周りを観察しながら歩いた。
 
 動物は実に多かった。象、カバ、水牛、ワイルドビースト、ヌー
鹿系(インパラ、レッドリチェ、リードバック、ブッシュバック)、
馬系(サッサベ、ゼブラ)、
  鳥類(スタリ(青色の奇麗な鳥) 、サドルブルストーク(白鷺系))
  バブーン、ワトホッグ(イボ猪)

 始めて生でみるゼブラの縞の美しさに感動し、インパラの喉なりがトラが唸る
時の様な迫力である事に驚いた。中でも、自分のお気に入りはワイルドビースト、
だった。残念なのは、名前も風貌も強そうなのに非常にシャイで少しでも近づく
とすぐ逃げていく事だ。
  最後に水を呑む象を見に行った。でも風下から近づいて距離100mでStopの指
示。非常に不満だったが、この間が、生身の人間が野生動物の中に入る時の距離
感であり、ここモレミでの礼儀みたいなものと思った。ここで見た象は、なぜか
左後足だけをフラミンゴの様に曲げて立っていた。水を飲んでいる時も黄昏てい
る時も常に曲げている。少し、オカマっぽく見えた。フランス人もガイドも同様
に感じていたようだ。「なぜ?」の質問に対するガイドの説明は、案外素っ気無
く「単なるクセだろう」とのことだった。
暫くするとその象を含めた4頭が、突然視界の左から右に猛然と走り出した。
ガイドもその異常事態に
ハブヨ「をいをい、なんで走っているんだ?」
ハリー「わからない。、、、あれ!火事だ。
      あぁ、象は、火を非常に恐れるからね。」
わかりやすく納得できる説明だった。

 ツアーのバリエーションとしては、
朝2時間+夕2時間or Full Day Walk
の2種類しかない。明日はFull Day Walkに参加を希望した。
少しでも動物とふれあう時間を長く持ちたかった。

 水辺に立つテラスで夕方になても蚊が1匹もいないのを確認できたので、夜は、
白ワインのボトルをkeepした。素朴な味付けの肉や野菜やパンに舌包みを打ちな
がら、ツアーで一緒になったフランス人夫婦と色々話しをした。動物の事、ワイ
ンの事、言葉の事。フランス人がワインを世界一と思って誇っているのを肌で感
じた。逆に、ひらがな、カタカナ、さらに1000字以上の漢字を操る日本人という
だけの事で尊敬の眼差しで見られるのは始めてだった。そんなに凄いことだっ
た?という漢字、もとい、感じで彼らとの会話は新鮮だった。


{14日目;5/28(木曜日)}

[Walking Safari in Moremi (2)]
 朝、5時、バブーンが叫ぶ、カバが吠える、ワニが水を掻く。どうしようもな
く、目は冴える。組木の上に立つ厚手の生地で作られたテントの中で、寒さに縮
こまりながら風にさざめく木の葉が雨の様な音を立てるのを聞いた。そういえば、
乾季とは聞いていたが、この旅行中に雨は一滴も降ってない。
{photo:t906_3Suikamin 小さいスイカ 水がなくて育たない?}


 今日は、朝食を取ってから8:00にFull Day Walkをスタート。
ツアー客はケニアで40年仕事をしていたおじいさん(AUS人)、フランス人夫婦、
シアトルから来た女性2人組。ガイドは3人。
苦労した割には昨日と同じ種類の動物ばかりで、特記すべき事項(昨日までに見
た事がなかった動物など)としては、キリン、群れ(水牛100頭、ゼブラ50頭×
4群連続)だけだった。昼間にシアトル組が脱落。15時におじいさんの息が荒く
なってきたので16時にはテラスに帰ってきた。自分としては、Full Dayは18時
までと聞いていたのと、まだ体力が余っていたので少し不満の残る内容だった。
帰りは、先に帰した客のおかげで、モコロをピストン輸送しなければならなくな
った為、焼け野原を歩いた。そこで、クロコダイルの焼け残った上顎(幅15cm
長さ25cmの子供サイズ)をGetした。熱せられた為か、歯をいくつか抜く事がで
きた。少々、臭いけど良いお土産ができた。

{photo:t906_4Zebras シマウマの群}


 野生動物にはすごく失礼な事だが、シャイな草食動物類を見飽きてきたって事
も不満になってきていた。この日から、自分はリクエストとして「チーター,レオ
パード,ライオン,ミーアキャット」が見たいと言い続け、ガイドの身になってみ
れば少々困った客になっていった。
 昨日、ガイドがミーティングで、自分を指しながら、「彼は5日、も、居る」
と言っていた理由が分かった。(困ったな、という意志を感じ、いぶかしく思っ
ていたが、)彼らは、長いガイド経験から、同じ動物ばかりでは、すぐ飽きるこ
とを見越していたようだ。
 グラス1杯の白ワインを飲むと昨日よりも酔いが早い事を感じて、早く寝床に
入った。朝は気温10度以下、昼は40度以上になる。この旅で、1日当たりに歩
いた距離も一番長かった。ヘトヘトではなかったが、コテン、グッスリ、、、。


{15日目;5/29(金曜日)}

[Walking Safari in Moremi (3)]
 通常なら朝6:30出発のところ、AUSのおじいさんが前日ごねたせいで8:00発に
なった。猫系を見るには“朝早い方が良い”って言ってたくせして、ガイドも金
持っている老人客には甘くなる。(理由は明白=tip)迷惑な話だ。自分は、相変わ
らず日の出をみたいが為に6:30には、きっちり起きている。ヤシの木をバックに
紫〜ピンク〜オレンジと刻々と変化する空の色は、何度みても感動できる。
 遅い出発の為、特記できる動物はハイエナだけだった。この頃になると、大分
サファリに慣れたのか、足跡(キリン、象、ライオン、バブーン)やフン(ゼブラ、
ハイエナ、象、バッファロー)や遠くの姿(鹿系以外)は確実に見分けがつく様にな
ていた。また、旅行中は感受性が高まっているせいで、ガイドが現地語(サツワナ
語)でしゃべっていても後で英語で聞くと想像していた内容が当たっていたりす
る。風向きを読むのに砂を垂らす仕種も真似をしているうちに板に付いてきた。
<その他>
・ゼブラの群れの中で一番しんがりをつとめるのは、やはりボス。
・ハイエナのウンコは白い。(骨を齧るから)少し同情。
・ソーセージツリーはモコロを作る。ケニアでは、このまずい実とハチミツを
  混ぜて強いビールを作るそうだ。
・マンゴスチンの木の下で休憩。木の実はなかった。

[昼;皮メクリ]
昼食後の怠惰な時間。何気なく、日焼けのひどい腕の皮をめくっていると、
ハブヨ「それは、なんだ。」
(えっ?見たまんまなのに?)
TAKT「For sunburn.」
ハリーも怪訝な顔。(えっ?こっちの人は剥けないの???)
TAKT「…new skin like … a snake!」
ガイド達はようやく分かったようで、予想外にウケていた。
ハリー「new skin like a snake.hahaha, like a snake.」
動物の喩が気にいったのか、3回位反芻していた。今度は、こっちの聞きたい表
情を読み取って
ハリー「僕らも時々は剥けるよ。でも、そんなに白くはならないで、少しだけ
      、茶色くなるんだ。」
腕を並べて見比べてみると肌色の違いが分かる。こっちとしては秋口の日光でゆ
っくり焼いた肌で、maxの黒さなんだが、ハリーの腕は、更に黒く、その上光沢
がある。南米なら、引き分けレベルまで黒人化できたのに、ここアフリカでは、
ベースの違いから、とうてい(黒さ)勝負にならない。
TAKT「a little bit brownかぁ。」
なぜかくやしかった。思い返すと勝負する意味はなく、悔しがる必要もないのだ
が、、、。

アフリカ人とは黒さが違う。
南米と違って完璧に負けだ。
青い鳥
 でも名前がスターリン,,,
[Walking Safari in Moremi (4)]
 夕方16時出発。初日夕方と同コースの2時間。
 特記事項は、ジャッカルだけ。
ソーセージツリー
と夕景
モレミの日の出


{16日目;5/30(土曜日)}

[Walking Safari in Moremi (5)]
ツアーの障害だったAUSの老人が去ったので、再度、Full Day Walk。懇願し
て、やっとメンバーに恵まれて「ライオンを本格的に追う」事を目的に歩き出す。
ただ、Full Day Walkだと、朝食をしっかり食べてから行くので、どうしてもス
タート時間が遅くなる。おまけに自分以外は水を全然持参していなかった。仕方
ないので手配してやって急がせるが、スタートは8:30。
  今回は、足跡の追跡の仕方や前3日にない緊張感が2人のガイドに漂っていて
よかったのだけれど、、、。昼間の暑い時間は、やはり動物もシエスタしている
みたいで、かわりばえしない動物の種類に落胆した。特記すべきは、バッファロ
ーの骨とアイイーターイーグルだけだった。

アンブレラツリー
(なかなか
形が良い。
アカシアの木)
下手すると
自分達もこうなる
運命,,,
ライオン(オス)
の足跡
(比較に置いた
 自分の足。
サイズは25cm)

  昼食後、キリンを見た後、ガイドが2人共昼寝をした。これも以前に無かった
事なんで、びっくりしたが、自分も見よう見真似で木の葉のベッドを作り、少し
横になって、30分ほど寝てしまった。ライオンがいる森で、、、。寝るつもりは
なかった。だが、これは、4日間付き合ったガイドとの信頼関係がなす業かもし
れない。(慎重なハブヨでさえここで昼寝をしているのだ。だったら安全だな。)
っと思ってしまった。

  逆にガイドの方も、こっちの装備は熟知していて、今朝も、水の話を始めた時
にピーターが自分を指して「君は買わないのか?」と言った時、
ハブヨ「彼は大丈夫、持ってきているよ。」
と自分よりも先に答えてたし、説明に詰まる(逃げてしまった動物の絵を見せたい
時等)と「う〜んと、あの、例のBook」と自分のデバッグから動物の本をひっぱ
り出したりもする。
  結果は、ライオンを見れずに終わったが、良い意味で緊張感はあった。っと自
分自身を強引に納得させて帰路についた。同行の客の内、70才くらいの老夫婦の
息が荒くなって16時の帰還だったが、ガイドも疲れていた様だし、LastChance
の明朝は、早く出かける(6:00)とガイドが約束してくれたので、文句は言わず
に素直に引き上げた。老夫婦は、画家とサイコセラピストでバックパッカーだっ
た。少しは期待したのだが、やはり、1日歩ききる体力はなかった様だ。一方、
自分は、風邪もいつの間にか完治し、体力は、ガイド達を凌駕していた。
※ サイコセラピストである奥さんは、
「こんなに遠くまであなたを来させる動機は何?」
とWhy文を使わない、珍しい尋ね方をした。(一種の職業病だな。)

[オーナーの子供]
 バーに帰ってくると、ピーターの子供(名前はバズ)が町から来ていて、モコロ
や散歩やサツワナチェスをして一緒にあそんだ。両親がこういうキャンプ場や事
業を広く展開しているので離れてくらしている。
 余談だが、このキャンプOddBall's と旅行会社Okabango Tour Safari と町中
のキャンプサイトThe Power Station は、ピーターがオーナー。ピーターの奥さ
んは、ブッシュマンの土産物屋を経営しているそうだ。
TAKT「歳は」
バズ「9才」
TAKT「毎週終末は町からここに来てるの?」(every weekend)
(2拍妙な間)
バズ「うん、そうだよ。」
あとで、偶然にもピーターに同じ質問をしたとき「Sometimes」という返事が返っ
てきた事から、バズの心を推し量る事が出来た。小学生で父親に構ってもらいた
い盛りなのに、せいいっぱいのやせ我慢をしているバズが、すごく健気に思えた。
小さい時からオーナーの息子としてメイドに育てられたせいか、少しわがままで、
負けず嫌いで、抜群に社交性に富んだ自然児だった。

[カバ]
 いつでも決まった場所でカバが見れた。夕刻、日が暮れるまで、小1時間もカ
バを観察した。あくびをする様子が好きだ。生まれ変わったら、カバになっても
いい。

カバのあくび 2頭のカバ


<体感的サファリ比較>
ここで、動物との距離を思い返してみると

a)ヴィクトリアフォールズの町周辺
b)チョベ国立公園
c)オカバンゴデルタ奥地(湿地帯)
d)オカバンゴデルタ(モレミ)
数量的には、  d > b >>> a > c(多い順から)
距離的には、  a,b > d > c    (近い順から)
最近接:象      15m  at  a>b
                (dでは50〜100m)
      カバ     20m  at  d
                (bで60m, cで40m)

であった。

[白ワイン]
 開けて3日もたてば、酸化する。渋いと思いつつも残りのグラス2杯分を流し
込んだ。


{17日目;5/31(日曜日)}

[Walking Safari in Moremi (6)]
朝、早起きして、テラスバーに一番乗りしていた。約束通り、いつもよりも30
分早くガイドが到着。コーヒーを用意するメイドが突然叫んだ。「Wild Dog!」。
どうも、300m程向こうにたたずむレッドリチェが水飛沫を上げて駆け出すなと思
っていたら、その左手から10頭前後の犬系の動物が群れで襲い掛かろうとしてい
た。ガイドも双眼鏡で確認したが、Wild Dog(リカオン)に間違いないらしい。メ
イド2人とバズと一緒に駆け出した。移動に遅れたリカオンに50mくらいまで近
寄って見る事が出来た。キツネっぽい華奢な体、先端が白いしっぽ。遭遇したと
思ったら4人の人間にビックリして、あっという間に林の中に消えていった。
素早すぎて、持ていたカメラを構える暇はなかった。
帰り道、気が付くとバズは裸足だった。
TAKT「sore?」
と覚えたての英語で聞くとやっぱり、素直に頷いた。無言でしゃがむと照れて2
回断ってきたが、
TAKT「でも、痛いんだろう?」
と言うと、はにかみながらも負ぶさってきた。20kgだろうか?荷物と違って自分
で重心を取るので体感重量よりは重いのかもしれないが、その軽さにやっぱバズ
は子供なんだなと再確認した。
また、メイドの背中を見ながら、ここで育った人は普通でも動物を見分ける目
はガイド並みかそれ以上なんだと尊敬の眼差しで見ていた。それでも、駆け出し
て見に来るって事は、それだけ、この土地でリカオンを目にする事は珍しい事な
んだろう。

 テラスに帰ると客も数人起きてきていた。キチンと起きていた3人とガイド2
人で、急遽、予定変更して、リカオンを追う事になった。(当初の予定はライオン
だった。)結局、リカオンには追いつけなかった。
 最後にライオンの声を聞く事だけはできた。っと思ったけど、それは、インパ
ラの喉なりだった可能性が高い。ただ、それが分かるまでは、喜ぶ事が出来た。
ガイド達は、10分後にインパラを見付け、サツワナ語でなにやら話し合っていた。
自分は、その会話でライオンの声ではなかった事を悟ったが、他の二人は少なく
とも喜んだままだったので、わざわざ英語で確認することはしなかった。分から
ない方が幸せな事もある。

[トラディショナルな食事]
朝食には、シリアルやパンの他、前のキャンプでお世話になった、MAIZE MEAL
粉を熱湯で溶かしトロトロの餅状になったもの(後で分かった事だが、ジンバブエ
ではサザという)が毎朝出てきた。バズはミルクと砂糖を入れてそれだけをお替り
していたが、グラランやおからの様なクリーム系の味付けが苦手な自分は、真似
出来なかった。一口は試したが、やはり、サザにはガーリックソルトが合ってい
る。
TAKT「毎食食べるの?」
バズ「うん。ほとんど。」
TAKT「じゃあ、日本人にとっての米みたいなもんかぁ?」
ピーター「そうだね。」
即答が返ってきた。ピーターは、映画館の無い町に出来る範囲で映画館もどきを
作ったり、夢のある幅広い経営をしているだけあって、はるか離れた日本の文化
の知識もある程度あるようだった。

{photo:t906_14Wbanana 双子のバナナ}


[釣り]
 セスナで帰るまでの間、バズと釣りをしてすごした。カバの横を通る時は、モ
コロに座り、櫂を普通のオールの様にパドリングして抜けたので結構スリルがあ
った。でも、釣果は0匹だった。泥の中に足を踏み入れたので、シャワーを浴び
た。足の裏を洗った時、垢が全然出ない事に驚いた。土に足を触れていない現代
社会の方が人間にとっては異常な事なのかもしれない。

[不満な清算]
 ドリンクのみ別注文と聞いていたのに、高い保護区入場料を2日分も取られて
憤慨した。だって一日に付きP30(=1200円)。
「3日分のところ2日にマケた。」
と言うピーターの言葉にもいい加減なものを感じた。
TAKT「だったら1日にマケてよ。」
と言う言葉は飲み込んだ。最後に来て、言い争いはしたくない。動物への寄付と
考える事にした。

[ガイドとの別れ]
 情が移りまくって涙出そうだった。最後に他の客と共に写真を写したが、帰っ
て現像してみると、ガイドだけ逆光状態で顔の詳細がハッキリしなかった。改め
てその黒さに驚愕した。用意したTip[P10]札1枚ずつを「少ないけど」と言いつ
つ渡した。それでも彼らは、押し頂く様に受け取った。今週彼らは、わがままな
客が4泊5日も居座って、内2日はFullDay,最終日は30分の早出だった。辛か
ったはずだ。普通なら朝夕4時間で済むはずが、週1日の休みもない彼らには誤
算だったに違いない。最後の最後にわかった事だが、申し訳なさと感謝と別れの
寂しさが入り混じって切なかった。

[マウン空港にて]
  15分の短いゲームフライトをなごり惜しく楽しんだ後、空港に着いた。預け
た荷物を取り、チェックイン、サファリで一緒だった人との別れ、住所交換を終
え出国前、1人になった。隣の紳士に時間を聞くと露骨にしかめっ面をされた。
いや、あの目は蔑む目だ。
 トイレで脱皮中の顔をゴシゴシ洗い、鏡を見た。ラッツ&スターにそのままで
入れる顔色。単パンとTシャツは、今までの旅の中で最悪に汚れていた。仕方な
い事なんだが、ここオカバンゴデルタでは、毎日、舞い上がる砂と灰でシンデレ
ラ状態だったのだ。(この「シンデレラ=灰かぶり」のネタは一昨日のサファリ
中に思い付いたが、洒落の分かるような女性に会えなかったので、口にする事は
できなかった。)
 (ムカツクけど、この格好じゃ、ヒッピーと思われてもしょうがないわな。)
と半分、納得!
「HAHAha、後3日で社会復帰できるのか?俺は。」
だれもいないトイレの中で思わず、独り言がもれた。
 出国し、歩いて寸胴のエアーボツワナに向かう。タラップの足元で名残惜しく
周りを眺めていた。出発5分前にゴーゴンみたいなオバサンスッチーに促されて
タラップを駆け上がった。

  さよなら、ボツワナ。高かったけど、人も自然もよかったよ。

続く−−−−−− Africa THE South 19Days ― part7へ −−−−−−


アフリカ南部の滝とサファリ(目次)
世界あちこち旅日記(旅の目次)