アフリカ南部の滝とサファリ 第7編

  
  −−−−−− Africa THE South 19Days ― part7 −−−−−−
                  オカバンゴデルタ(帰路の3日)

{17日目;5/31(日曜日)}

[帰路の機内にて]
ボツワナの北西部のマウンを飛び立った42人乗りの飛行機は、安定してJN
B(ヨハネスバーグ)空港に向かっている。上昇時にダガハウスという名の円筒
の白壁と円錐の藁葺き屋根でできたかわいい民家を名残惜しく眺めた。
  これから、3日かけての帰路につく。
  暮れなずむ空を窓から眺めていると、羽に角度らしきものが0〜45度まで15
度刻みで振ってあった。安定飛行時は0度。着陸(離陸)時は45度だった。面白い
が、誰のための表示なんだろう???
普段ビールは飲まないのにこの時は、カサネ空港でおごられた銘柄CASTE
Lを食前に飲み、食中には、白ワインを飲んだ。ほろ酔い気分で、ブランケット
を借りて寝る体制に入った。無意識の回想モードで滝、動物、人、草原etc.と思
い返していた。と、その時、涙がほろっと右頬をつたった。(はれ?なんで?)
と思ったが、ここ最近の旅の終わりは、だんだん感傷的になっている。自然が素
晴らしかった、人も良かった。心の底から離れたくない気持ちが込み上げてしま
ったのだろう。しょうがないなぁ。でもほっとこう。顎で冷たくなった液体を感
じつつ、そのまま眠りに落ちた。
  2時間弱の短い眠りの後、機窓から見た夕焼けは、オーストラリアで見た朝焼
けよりも濃い赤色をしていた。また、行きに見た早朝の夜景と比較して、この早
い夕刻の夜景は光量が多かった。幾何学的な美しさはそのままに、車の量が多い
事になんとなく安堵感を覚えた。
 
[JNB空港、再び]
乗員が少ないので荷物もスムースに受け取れた。検査らしい検査もなく、出口
に向かった。まず、ホテルの送迎を探す。治安面を考慮して、2年ぶり3回目の
「日本から宿の予約」をしていたのだ。が、Holiday innは、ジョハネスバーグ
に10件以上立っている。1人だけ見つけた迎えの人は、Holiday innの違う宿だ
った。しかもそのHoliday innの送迎ボーイの対応は最悪に無礼だった。これで、
プッツン、キレて
「てめー、クレーム出すから覚えときな!」
と日本語で怒鳴りつけてからスタスタと国内線ターミナルの方へ歩き出した。ボ
ーイは、「クレーム」だけ分かる言葉に慄き、後ろで何か心細そうにごちゃごち
ゃ言っていたが、無視して振り返りはしなかった。なめられた分、ちょっとは脅
かしてやらないと、、、。(日本語も無視した事も、計算ずく)
日本から予約したとはいえ、1泊寝るだけの宿に1万円近くも払うのは、自分
のポリシーに反していた。過去海外で泊まった宿の95%は2000円以下の宿だった。
実は、虫の知らせか送迎が来ない事は想定の内で、そうであれば、即、安い宿に
代えるつもりだった。また、治安が悪い空港に長居するのも好ましくないとの考
えもあった。当てはあった。行きの待ち時間でチェックしていたホテルのボード
は国内線ターミナルにあった。確認した通りの週末料金が表示されている。一番
安いR115(約3200円)は写真が山小屋みたいで安全面に問題がありそう。Formula1
〜4という名前の宿はR119だが、写真がないのでパス。結局、R138のTown Lodge
に決めた。

[押し売りポーター]
受話器を取って、電話番号をさがす。が、ない。その最中に誰かが声をかけて
きた。
「どこに泊まるんだい?」
TAKT「Town Lodge.」(警戒心50%)
彼は、素早くホテルの写真の下の受話器の絵のボタンを押す。
(あっ、そういう事か)
電話は、苦手だ。でも、電話の相手が比較的ゆっくりしゃべってくれたので、3
回聞き直して、ようやく、ターミナル2の前の道路に来る「City Lodge、Town 
Lodge」と書いたワゴン車に乗れば連れていってくれる事が分かった。
  受話器を置き、歩き出すと、彼は頼みもしないのに3歩先を歩いていく。
「こっちだ。」
ターミナル4の前で道路に出ようとする。
TAKT「えっ、でも自分はターミナル2に行ってから道に出るから」
「わかった。まぁ、いい。どっちでも同じ事だ。」
(警戒心100% & うっとおしい)
TAKT「あんただれ?タクシードライバー?タクシーは乗らないよ。」
    (かなり、露骨にWho are you?を使ってみました。)
「いや、違う。タクシードライバーじゃない。」(イライライライラ)
TAKT「WHAT is your JOB?」
1単語ずつ区切って語気を強めて言った。
「ポーターだよ。」
あぁ、ポーターかぁ。海外9回目にして始めてだ。話には聞いていたが、実際、
会った事はなかった。そーすると、次は、、、
  行きに6時間もウロウロしてた空港だ。迷いもなくワゴン車のところに着いた。
荷物をワゴンに乗せる時、迂闊にもポーターに触らせてしまった。自分で後部ド
アを閉め、乗り込もうとすると。
ポーター「ほにゃららららら、tip、ほにゃら」
ほらきた。この時だけ、胸を精一杯張っている。こめかみの血管がプチっと切れ、、、
はしなかったが、どうもこのまま素直にUS$1紙幣を出す気にはなれなかった。だ
って、このポーターがやってくれた事って、ボタン押したのと、荷物を乗せるの
に半分手伝っただけに過ぎない。大体、「受話器の絵のボタン」の押すタイミン
グが早かっただけで、受話器に押すべき番号は付いていなかった為、自力でも絶
対気が付いたはずだ。
  急に意地悪してみたくなった。
  使い残しのボツワナのP1コインを3枚(P3=120円)差し出し、
TAKT「僕は、ランド(南アの通貨)を持っていない。」
と顔は申し訳なさそうに、心の中で舌を出しながら言った。この意地悪の味噌は
コインというところにある。いくら隣国の通貨とはいってもコインを自国内で換
金する事は出来ない。よっぽどのコインマニアでない限りは他国のコインなんて
もらっても、ちっとも嬉しくない、生活の糧にはならないのだ。
ポーター「要らない。」
彼は、精一杯の作り笑顔をする。が、落胆の色は隠せなかった。
自分の予想は、少しは怒ると思っていた。のに、意外な紳士な態度に少し驚いた。
と同時に後悔した。が、もう後には引けなかった。そう、ここがいくら治安が悪
いとはいえ、カイロ並みに予防線を張る必要は無かったのかもしれない。彼の押
しも、あれくらいやらなければ、Tipだけで生活はしてけない。思い返せば、競
争相手はJNB空港内にうじゃうじゃいた。ただ、自分はポーター初体験だったし、
その必要もなく、今まで過ごしてきただけのこと。自分でバックパック背負って
いる限り必要なさそうだ。
  ホテルに到着するまでの5分間、小さな意地悪の原因と後悔を噛み締めていた。

[クレーム]
  小奇麗なロビーに入ると、疲れがどっと出てきた。フロントはショートのブロ
ンド。コロコロした笑顔と上品な物腰が知り合いの奥様に似ていた。コーヒーパ
ック2個とカードキーをもらい、部屋に入る。TVがある。ポットがある。久々
のちゃんとした住環境に思わず歓喜の声と共にベッドにダイブする。寝転んだま
ま、思い切り汚れた服を脱ぎ散らかす。シャワーもいい。先日までのドラム缶や
太陽熱と違って安定した熱い水が勢い良く出てくる。シャワーを思う存分楽しん
だ。
シャキンとした頭でTVと見ながら、Holiday innのキャンセル料対策を練る。
予約の確認証には、「18時以降の当日キャンセルの場合は、チャージを取る」と
しっかり書かれている。空港の到着時間が18時なんだから、連絡は時間的に無理
だったわけだ。まぁ、送迎が来なかった負い目が向こうにあるんだから、間違っ
てもキャンセル料は請求できまい。但し、カード番号は予約の時に伝えてしまっ
ている為、今日中に連絡をきっちり取っといた方がいいだろう。問題は、電話の
英語。フロントの娘、マンディに頼もう!彼女のきびきびした仕事っぷりと説明
の時の優しい対応から、頼めば、100%やってくれる妙な自信があった。一応、状
況をランドリーの紙の裏に書き出して、フロントに向かった。
  事情を身振り(プラカードを持った人=送迎etc.)混じりで伝えて、確認証
も見せて、理解してもらってから、電話してもらった。マンディは快く引き受け
てくれた。99%ビシネスマンだらけのこのホテルでコテコテに汚れた東洋人旅行
者が1人というのも、1っ発で顔を覚えられて特だったのかもしれない。
M「今日、私のホテルのゲストが、あなたのホテルの予約、、、(中略) 
   ええ、私の方は全然構わないのだけど、、、キャンセルチャージは
   かからない様になりますかしら、、、Thanks。名前を頂けます?
   、、、***ね。っと、コードが、******。はい、Thanks、Bye」
チンっ。(受話器を置く)
M「完了よ。キャンセルチャージもかからないわ。今話した人の名前がこれ、
   キャンセルコードはこれよ。」
TAKT「ありがとう。ほんと、ありがとう。
    ところで小腹が好いてて、クラッカーかスナックを買いたいのだけど、
    近くに店とかあります?」
近くに店はなく、小さなスナックは、ロビー脇の自販機に揃っているとのことだ
った。とりあえず、US$5だけ両替してR23にした。R2をTipにして渡したら、3
度目に受け取ってくれた。40gサイズのスナック菓子(R2.5)を2袋買って、部屋
で白ワインのミニボトルと共に食べた。
  TVはケーブルTVで映像5ch,音声4chだった。映像の通販が面白く、音声
のPOPs&Rocks専用chが懐かしく心地よかった。


{18日目;6/1(月曜日)}

[バイキング]
朝食は、R29のバイキングだった。元を取る為に1番景色の良い場所に陣取っ
て、日記を書きつつ、1時間かけて食べまくった。ベーコンエッグ+豆+ソーセ
ージの大皿以外はお替り自由だったので、パン7個,トースト2枚,ヨーグルト2
個,果物缶詰2皿,ジュース3杯,コーヒー1杯。ジャムも10種類以上有り、嬉し
いかった。十分過ぎるほど元は取った。ウエイター達は、明らかに呆れ返ってい
た。
  パンパンに膨れ上がった腹を抱えながら、腹ごなしに隣のFormula1というホ
テルを見学に行った。600円程安かった。雰囲気は落ちるが、寝るだけならこっ
ちでも良かったな、とも思った。部屋には11時まで居れたので。部屋に戻ってT
V見ながら、ゴロゴロ寝て、10:30に朝シャン。
送迎を頼んで、10分も待たない内に昨日のワゴン車が到着。マンディにもう
一度お礼を言いたかったが、夜勤じゃなかったみたいで会えなかった。も一度、
あの笑顔を見たかったなぁ。

[JNB空港の停電]
インフォメーションでクルーガーNP等のパンフをピックアップして、免税店
で目星を付けていたワインを買おうとした。すると、突然ロビーの停電が起こっ
た。とりあえず、カードを手で処理してもらって買う事が出来た。
TAKT「こんな事、良くあるの?」
レジ「う〜ん、まぁ。4ヶ月、いや、2,3ヶ月に一回かな。」
少し、恥ずかしそうに言った。
(毎月あるんやな。)
もちろん、トイレの手を乾かすヒーターも動かなかった。ブツブツ文句を言っ
ているのが、白人だけだったのが面白かった。まぁ、大体は待っているだけだし、
天窓から日光も差し込んでいるので、暗いのは、店の奥だけ。値段が高いし、こ
の国を旅行したわけではないので、ワイン以外の土産物は自分にとっては、用な
しだった。

[クアラルンプールへ]
マレーシア航空(MH)  JNB 1340  -->  クアラルンプール 0540+(翌日着)
  離陸時にオーバーラン気味だったのか、高速道路に埋め込まれた眠気覚ましの
ようなガタガタした強い振動があった。非常に不安になったが、スッチーがフル
に急がしそうだったので原因を聞きそびれてしまった。本機はアルゼンチンのブ
アノスアイレスから飛んできていた為、満席だった。どうりでスペイン系の美女
が多いと思ったのだが、座席に残っていたメニューにブエノス-->JNB間のラン
チがあったので分かった。
  ともあれ、時差6時間、飛行11時間も乗っていたのに、うとうとしか眠れな
いまま、朝6時にクアラルンプール旧空港着。

{19日目;6/2(火曜日)}

[クアラルンプール観光へ]

手荷物のワインを預ける(RM4=160円)のと、万札を3000円分だけ両替するのに少
し手間取ったが、4時間を有効に楽しむべく、行きとまた同じ様にスリマハマリ
アマン寺院(ヒンズー寺院)を目指し、No.47バスを待った。時間が時間だけに、
他に待っている客の内、現地人以外は、自分と同じ便で来た人が多いのだろう。
ケープタウン在住の30代の夫婦と少し話しをした。婦人の方が身重だったの
で、後何分でバスが来るのか確認してあげた事(15分間隔)から、話しが始まり、
アフリカ南部の通貨や治安の事等に展開していった。ボツワナの物価がなぜあん
なに高いかという答えもその中で見つかった様な気がした。少ない人口でダイヤ
モンドの富を分かち合っている上に他の地下資源も豊富だからだそうだ。
TAKT「それにあぐらを掻いて地場産業がないって事もあるのかなぁ。」
の問いかけに、ほぼ同意+感心した様な頷きが返ってきた。それにしても、HP
であんだけボツワナの事を調べてダイヤの文字も見てたのに、自分の興味が薄い
為か、聞いて始めてダイヤ鉱山が原因だったと気付いた事が歯がゆかった。
  また、JNBで空港とホテル以外一歩も外に出なかった話をすると、
夫「賢明だ。それに、JNBは観光するところじゃなくて、トランジットか
   ビジネスでしか訪れる価値のないところさ。反面、ケープタウンは
   いい所だよ。見るべきところがたくさんある。」
お国自慢の詳しい話しを聞く前にバスが来た。っと、意外と学生や勤め人で混み
混みなのを見て、お腹の赤ちゃんが一番大事な夫婦は即タクシーを拾う事になっ
た。
  たった2時間遊ぶ為に3000円も替えてしまったが、タクシーには少ない様な
気がした自分は、入れ替えで、程程に混んだバス(RM1.6=65円)に乗り込み、夫婦
と笑顔で別れた。

[チャイナタウン周辺の散策]
7時に終点のセントラルマーケットに到着。市場をぶらぶら、偶然見つけた関
帝廟も見て、
7:30前にスリマハマリアマン寺院(ヒンズー寺院)に入った。

[Sri Mahamariaman Templeふたたび]
相変わらず工事中で藁葺きで正面を隠している。がっかり。ヒンズー寺院は表
の多種多様な神様を見てるのが面白いのに、、、。
中に入る。入り口で靴と靴下を脱ぎ、左手の水道で足を洗う。2度目なので慣
れた手順で移動してきたが、やはり、一匹ゴキちゃんを見つけた。周りこんで主
殿に入った。壁に背をもたれあぐらをかいて座り、人間観察をする。
前回見た時と同様、老人の祈りは手が込んでいる。
7:30 太鼓と縦笛を持った2人が正面に向かって右に立った。1分後、白い衣
を纏ったこの寺のボスらしき人が中央に歩いてくる。風体は菅原文太を20才くら
い年とらして、上からトンカチで3回くらいたたいた白髪のがっちりしたじじい
だ。その老文太が、右手をサっと振り上げるといきなり右奥からドラが鳴り、太
鼓と縦笛が、ひょうきんな旋律を奏でる。
7:45 太鼓と縦笛の人が動き出すと信者約70人が一列になって後ろに付いて回
りだした。そして、主殿の周りを練り歩き奥2隅にある各祠に参拝する。
7:50 老文太がお経のようなものを唱え出す。そして、ろうそくを立てた皿を
持って、中央に2列になった信者の前をゆっくりと歩く。信者はその火に手を翳
してなにか真摯な表情でつぶやく。
8:05 騒がしい儀式が終わった。
途中から入ってきた昔の後藤久美子似の姉妹に注目してこの全ての流れを最
初から最後まで定点観測した。儀式が終わると、姉妹は仲良く自分の斜め前の柱
を背にあぐらをかいて座った。妹の方は柱に隠れて見えなくなったが、姉は、見
える。視線が合わない事をいいことにズーッと観察する。睫が長い。やはり綺麗
だ。目は、半眼にして、神秘的な表情をたたえている。そう、半眼というのは、
千葉で座禅をした時に教えてもらったが、両目に力を入れずに薄目状態にして前
方下斜め45度の1点を見つめる。宗教だからじゃなくて、人間が悟りやすい、無
我の境地になり易い手法なのかもしれない。意外だが、案外理にかなった共通点
を見っけた。そのうち会社や学校に行く前の人達がさみだれ式に去っていく。
自分も半眼にして、今回の旅を振り返る。トラブルは多かった。でも、個々の
土地の印象は凄く良かった。無意識に滴り落ちた涙の原因を自分の心の底にたず
ねる。今回でこういう2週間以上の旅は普通のサラリーマンでいる限り最後かも
しれない。そういう思いに縛られて、ここ最近の旅の終わりは感傷的だ。まぁ、
しょうがない事だけど、
学生時代は、金がないけど、時間がある。
社会人時代は、金が少しあるけど、時間がない。
では、定年後は、金がある、時間もある、けど体力が落ちる。
今しか出来ない、今しか感じられない、今しか溶け込めない、今しか、、、
ここ2年はそんな事を考えている。どうせ1回コッキリの人生。放浪して暮らす
のも善いかもしんない。でも、いっぱしの仕事もしたい。多分そんな、自分の中
の葛藤があるのだろう。今回の旅は良かった。サファリももっと別の場所に行き
たい。未練が中途半端に残るのを断ち切る為にも、この寺院で静かな時間を過ご
したかった。だから来た。まぁ、さっきの35分はその意図には反していたが、初
めてヒンズー教の日常儀式を見れたし、それはそれで、すんごくよかった。
な〜んて、考えてたら、意識の中でへその下あたりの紺色の景色まで下がって
いたハートが、可笑しさから、急に浮上してしまった。まだまだ、無我の境地に
浸る事は出来ない。青いなぁ。
顔を上げると前頭部がモヤモヤする。(Hなモヤモヤじゃない。)しかし、立ち
上がった姉妹と目が合って、ドキっとした途端、モヤモヤがどっかに吹っ飛んだ。
そらそうやな、現地に染まっているつもりでも、色は別にして、顔は日本人なん
だから目立つ。
  なんとなく頭の霧が晴れた様な気がして、しばらくしてから、自分もその寺院
を後にした。

[余談:宗教感のない宗教感]
誤解を恐れずに書くと、自分は無心、ちゃう、無神論者だ。旅先で宗教の話し
はタブーだが、この7編まで付き合ってくれた方には、噛み付かれることはない
だろう。「困った時の神頼み」なんて言葉があるが、自分は、困った時の判断や
閃き等は全て過去の体験や見てきた事から生まれるもんだと思っている。だから、
自分は神や仏やキリストやアラーや象の神様とかに依存しない。でも、それらに
祈る事によって、良い精神状態でいられる人を否定する事はしない。宗教という
不定形のツールがトランキライザーになりうる事もあると思っている。人それぞ
れの向き合い方があって良いと考える。
昔、旅先で泊めてもらったドラッグリハビリセンターの所長さんにキリスト教
の勧誘らしきものを受けたが、時間をかけて丁寧に断った。なんとか納得はして
くれた。また、初詣やクリスマスもやるが、自分に対する目標確認とかイベント
と捕らえているだけにすぎない。
でも、そういう場所の雰囲気は好きだ。しょう〜〜んとした空気、祈る人の横
顔。
ヒンズー:寺院屋根の彫像は表情が豊かだから、見てて飽きない。
イスラム:マレーシアでモスクに入ったら怒られた事があった。
        エジプトなんかで教義を悪用する輩がいる。
        バクシーシはムスリムの間でだけやって欲しい。
キリスト:教会は無料で入れる観光地。
        でも、胸に剣を突き立てられた絵は見飽きたし、暗い。
仏   教:線香の煙がひどい所はやだ。
        肌色、安っぽい金色、原色ギトギトの仏像もやだ。
        だが、なぜか石仏には惹かれる。故郷に多かったせい?
神   社:厄払いとか三輪大社のにゅうめんとかの印象しかない。

[買い物]
朝早い為か、出店がポチポチしか出ていない。水が入ってオシャカになった偽
G-Shockも文句の持って行き場所がない。
マーケット内をうろうろして、屋台の薄塩のラーメン(小)(2.2RM)を食べた。
具がタップリで素材の香りと味が染み出ている素朴な味に酔いしれた。
時計は最初の言い値が45,38 RMで交渉で物にも依るが27〜17RMまで下がる。
偽のタグホイヤーを27RMでgetした。他にTシャツ(9 RM)×3枚get。実は、い
つもの事だが、旅に持って出るTシャツは全て最終日に捨ててくる。物価の安い
ところなら、最初っからTシャツを総とっかえすべく、クタクタのヤツを選別し
て持っていくのだ。予想よりも高かったが、今回持ってきたTシャツはクタクタ
の上にコテコテだった。で、残りの金は、全部セブンイレブンでガムとキャンデ
ィとインスタントラーメン(0.65RM)になったのだった。
バス乗り場の前でランプータンが売られていたが、1kg5RMの表示。手元には、
2RMと少ししか残ってなかった。バス代の1.6RMを除くとかろうじて1RMあった
ので、それをさしだし、「1RM分」と言ったが、おやじはがんこにも1kgじゃな
いと売らない。粘っている時間がなかったので「ケチっ」と言って去った。
バス停に着いたとき9:00を少し回っていた。バスは15分毎だ。その15分足
らずの待ち時間の間に、明らかにスリっぽい青年2組が不自然ににじり寄ってき
た。バスが来るのが見える位置で場所を2回移動して振り切ったが、少し、緊張
した時間だった。

渋滞で市街を抜けるのに少し時間がかかったので、ハラハラしたが、無事50
分前にチェックイン。ボーディングの前にコールがかかっていないのに並ぶのが
好きな日本人の列を呆れて見ていたが、目の前の22個のラーメンが入ったセブン
イレブンの袋を前にして、どんぐりの背比べだと思った。
TAKT「アホや。」
  一人で後悔に赤面していた。

マレーシア航空  クアラルンプール 1100  -->  成田 1900

日本の新聞を「前日のでも良いからお願い」っと日本人スッチーに頼むと、日
経と読売の両方を持ってきてくれた。気配りが良い。むさぼる様に読み下す。
ビビビとか安室の子とかスハルトとかこの2週ちょっとでだいぶ世間は騒がしか
ったようだ。断片的な情報しかのっていない下の週刊誌の広告を見て思った。

その後、7時間をほとんど寝て過ごし、この3年間、儀式の様になっているス
パイシートマトジュースを寝覚めに一杯やった。旅の終わりに未練を残さないき
っつい味である。

  10:00 アパート着。
アパートの部屋は、バルサンの匂いと共に湿気が凄かった。乾燥したアフリカ
の空気が恋しかった。その晩は、クーラーを除湿のまま付けっぱなして眠った。


明日から社会復帰できるかなぁ、、、ZZZZZZzzzzzz、、、。


  −−−−−− Africa THE South 19Days ― お・わ・り −−−−−−


アフリカ南部の滝とサファリ(目次)
世界あちこち旅日記(旅の目次)