上海周辺旅日記 第9日

  
    ――――― 上海周辺9日間旅日記 8-9.第9日  ―――――

 1997年9月18日

[最終夜・ドキドキタクシー]
終電をのがしてしまい、人民公園駅前でカモを待ち構えていたタクシーに乗
り込んだ。言葉は、通じない。ホテルのパンフを見せ、住所と地図を指さす。
遠くていい儲けになるのか、運ちゃんはご機嫌。自分は不安。手元には100
元札とあと小銭しか残ってない。地下鉄だと2元だから、使い残し0を狙って、
現金を減らしていたのが徒になった。
「上の道行っていいか。」とのゼスチャーに
「別料金だったらやだ。」
と回答したいが、うまく伝わらない。そうこうするうちに勝手に上道を走られ
るが、料金所らしきものはなかったし、メーターも変な動きはなかった。
  タクシーは80Km/h以上の快調なスピードで飛ばしている。道は日本の高速
道路並みに良い。メーターは小刻みにカウントアップしていく。29.50、、、
32.50、、、、、、、47.50。海外でメーターやレシートをみると、一瞬US$換算を頭
の中でしてしまってドキドキしてしまう。卒業旅行で知り合ったタイ人とベト
スキした時も700B(3500円)のレシートにドキっとしたもんだ。速さと時間か
ら、多分100元で足りるだろう。万一、100元越したら、強引に止めさせて、
方向だけ聞いて、歩きだせばいい。っと腹をくくって、3分もしないうちに、
タクシーはスロープを下っていった。
  結局、52元。運ちゃんはあからさまにホクホク顔で「謝謝」と言いつつ帰
っていった。日本円に直すと780円。日本がいかに物価が高いかわかる。

[最終夜・コンビニ]
ホテルの踏み切り前のガードマンに会釈して、開けるのにちょっとコツがい
る部屋のドアを開けると、どっと疲労感が襲ってきた。シャワーの湯を流し始
め、ベッドに座って、ぼーっと何も考えない時間が過ぎていく。ハードな一日
だったぁ。風邪を少しひきずっている体でよく動けたと自分で自分を誉めてあ
げたいと思う。熱いシャワーを浴び、TVを付けると、こんどは急激に空腹感
が襲ってきた。
あとは、帰るだけ。コンビニで残り金を使い果たそう。明朝のチェックアウ
ト時に140元(押金=キーデポジットみたいなもの)も返ってくるのだ。今晩は
文無しで構わない。
お土産用に奇麗なコインや札を選り分けると60元が残っていた。街灯のな
い真っ暗な道を300m程行った先に目指すローソンがあった。周りは団地だら
けの閑静な住宅街だ。でも一点妙な出来事があった。
ゴンっ、ごごんっ、ゴンっガっ、、ゴンっ、、、、、
コンクリの瓦礫を4tトラックに積み込んでいる人達がいた。音から察するに
トラックの影で2,3人が黙々と作業しているようなのだ。昼間の工事現場なら
わかるが、真っ暗な住宅街、深夜25時過ぎ、、、不自然過ぎる状況が、体を硬
くさせる。突然襲って来られたらダッシュだな、と心構える。足早に通りすぎ、
漢字だけ違う見慣れたローソンにたどり着いた。
店員2人、先客2人。物色していく。
   おにぎり           2元
     (三文魚=鮭、木松魚=鰹、金狗?魚=シーチキン)
   スナック菓子   1.5〜4元
   板チョコ         2〜3元
   白ワイン           12元
   紹興酒(3年物)      10元
   紹興酒(5年物)      21元
   缶ジュース        3〜元
う〜ん、食べ物ばかりだけどたった60元(900円)が3000円位の価値があるよ
うに思える。夜食と朝飯だけにしては、多すぎるが、2袋大きな袋を下げて、
ホテルに戻った。こないだの2日酔いにもメゲず白ワインも買ってしまった。
  おにぎりは、日本のローソンのおにぎりと全然違いまずかった。

[キッチリ]
朝8時、チェックアウト。予定通り押金140元get。白ワインを大事に抱え
てホテルを後にする。トラブルを避け、ホテル前に止まっているタクシーは相
手にせず、少し歩いて、団地の中で休んでいたタクシーのおじさんに、地図を
見せて空港を確認させる。当然英語は通じない。でも漢字で書いてある空港を
指し示せば間違いはない。気配りの良いおじさんで、中国音楽のラジオを聞き
ながら、目と表情で会話する。最後に心暖まる出会いだった。
空港では、切手を買い、札がなくなった。コインだけ10元未満の芸術的な
旅の終わりの金の残し方だった。でも、それは、結果論で考えていなかった出
国税にコントロールされたにすぎない。空港内の郵便局で小銭が足りなくて困
っていた仕事で来ているっぽい日本人女性に
「千円札だけそこの銀行で代えたら」
ってアドバイスして、いっぱしぶってる自分がおかしかった。
  ただ、旅の終わりに現地通貨をキッチリ使い残さなかっただけで、こんなに
良い気分になれるなんて幸せもんやなぁ。

[雨の帰路]
  成田は雨。夕方、雨水を吸って子泣きじじい状態のバックパックを担いで、
ボロアパートに帰ってきた。だが、アラスカ、NY、チリと長距離フライトが
続いていたので、上海-->成田は、ものすごく近く、楽に感じられた。


[本日(9/18)の主な出費]
食料                60元
タクシー                23.1元(tip+2)
出国税                    90元
切手                    25.8元(4.3*6枚)
(当時のレートは、1元=約15円)


[あとがき]
  今回の旅のポイントは、黄山で出会った名古屋の仲良し6人組と紹興のホテ
ルのフロントの女の子(675娘)でした。ヒルトンボーイと675娘には、お礼の
手紙を写真と共に送りたいと思いつつ、中国語が出来ないので、いまだに何も
やってません。もちろん、景色(ご来光、霧、湖、水郷)、酒も満足満足。

・<初めての食べ物>
ハミ瓜、ボンタン、竹、サツマイモの茎、臭豆腐、烏龍茶漬ゆで卵、
水草の実(謎)

・ <演劇>
 タップドックス と 京劇(上海雑技団は4連休で見れなかった)

  たった9日の旅なのに、日記形式にしてしまい書き終わるのが間延びしてし
まった。例によって、ガイドブックを作っている人みたいに調べながら観光し
ているわけではないので、ハード情報は少なく、実体験を線でだらだら繋げた
だけのソフト情報ばかりになってしまいました。乱文ですが、読み物として、
楽しんで頂けたなら幸いです。

  今(1998年2月)は、次の仕事の切れ目を狙って、代休を貯蓄している毎日
です。休みが3週間とれるなら、マダガスカル島とビクトリアフォールズとサ
ファリを連続で行けるのになぁ。

巻末まで読んでいただきありがとうございました。


    ―――  上海周辺9日間旅日記 完  ―――


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