上海周辺旅日記 第7日
{photo:t807_1Tapdogs.(踏狗劇)意外と楽しめた}――――― 上海周辺9日間旅日記 8-7.第7日 ――――― 1997年9月16日 [今日はなにをしよう] 8:30始動。紹興に来て3日目にして初めて晴れた。 11:00の上海行きの列車まで時間がある。 ガイドブックを見直して行き残していた府山公園へ行くことにした。朝早い内 に会えることを期待していなかった675娘がフロントで笑顔を向ける。取りた てて用もないのだが、カウンターまで歩いていき、時計の11時を指しながら、 TAKT「今日は府山公園へ行って、11:00に,I'll be back」 レンドルのCMの真似して言う。本音は、この時間にもフロントいてほしいっ て願いを込めて言った言葉だ。紹興についてから、いや、彼女を前にするとど うもいつもと調子が違うなぁと思いつつ、ロビーを駆け出した。 [府山公園] ホテルから歩きながら、タクシーを捕まえ、9元で府山公園の入場口へたど りついた。中の入場券が2つ別売りだったが、かまわず全部買う。全部でも5.5 元だった。駆け上がった展望台はがっかり。周りを木々が遮っていて昨日ロビ ーだけお邪魔した「紹興国際大酒店」だけが木々の切れ目から見えていた。よ く見るとそこだけ木がカットされていた。逆にいうとそこしか見せようとしな い意図がわかる。ただ苦笑するしかなかった。水郷地帯の牧歌的な風景を俯瞰 しようと楽しみにしてきたのに(^^;) 「中国人の見栄っ張り〜。」 って雄たけびをあげたい気分だった。 時間が余った。胡蝶園は蝶の羽のアートで見ごたえがあったものの、小じん まりしていて10分で見終わった。もう一方の館は、「臥薪嘗胆」の2枚の絵が メインであとは、小学生の作品展示場があっただけだった。 [朝食] どう帰っていいかわからなかったが、ちょうど客を降ろしたタクシーを捕ま えることができた。府山ではちょうどジョギングの様だった為、ホテル近くの 道端でゆで卵を売っているのが見えたので空腹感が急に湧いてきて、すぐ、降 ろしてもらった。 点心 1 元 ゆで卵(醤油味) 0.8元 うまかった。当分コンビニの肉マンは食べる気がしない。 [離別、675娘] 部屋に戻って、この紹興で一番お世話になった675娘に宛て、メモを書いた。 「Your 心&笑顔 漂亮 我楽 2日間。 謝謝 三本 拓人 TAKT」 漢字と英語と数字、「笑顔」という文字の意味が通じるかどうかが唯一の心 配だが、気持ちは伝わるだろう。 チェックアウトをしながら675娘の顔を見る。今日の口紅は淡いピンク色だ。 うんうん、(^o^)昨日のどぎつい赤色よりも彼女には似合っている。彼女と言 葉がもっと通じて、自分にもっと甲斐性と身を固める気概があれば、彼女を連 れて帰りたい気持ちだった。(TT;)あえて彼女の名前は聞かなかった。名前を 聞く中国語会話文も知らなかった。英語の筆談ならかなりの確率で通じたと思 うが、聞かない方が良い思い出になると思った(完全自己陶酔の世界)。デポジ ットを受け取るともう用事はなくなった。 あぁ、お別れだ。ホケっと顔をしばらく見つめていたら、彼女が「んっ」ど うしたの?って顔になる。わざといたずらっぽく笑って、右のポケットに握り 締めていた先ほどのメモを突き出した。 TAKT「謝謝。BYE!」 ロビーまでゆっくり歩いて振り返ると、暗号メモを同僚と一緒に笑いながら 解読していた。 あ〜〜あっ、もうあの笑顔と出会うことは多分ないやろなぁ。 TAKT「BYE、BYE」 [中国の汽車はリス小屋か?] 三輪車で駅に行く。3元。1kmで交渉するとこんなもんだ。ダフ屋が1人近 づいてきたが、一瞥視線をくれるだけであっさり引っ込む。黄山のおばあさん に比べると同情を感じるくらい弱気なダフ屋。 (おっちゃん、悪いけど切符持ってるし、今は付き合う気分やないんや) 電車は20分遅れで来た。硬座車両の中を5両位歩く。床はひまわりの種だら けで気を付けて歩かないと滑ってしまう。まるでリス小屋だな。最後尾まで歩 いたが硬臥は見当たらない。車掌に切符を見せるが、中国で毎日のように耳に する「メイヨウ(ないよ)」の答えが返ってきた。少し不満だがしょうがない。 小錦みたいな男の横がテーブル付きで空いていたので、そこに座った。揺れる 車内で絵はがきを書く。 [ラーミェン食べたい♪] 1時間して杭州に着く。すると「ラーミェン」という声と共に売り子がやっ てくる。ここまで、焼きそば系はあったけど、麺がスープに浸かっている食べ 物はお目にかかれなかったのだ。YAさんによるとラーメン系は中国ではあま り見ないと聞いていた。欲望に素直に、カップ麺だが迷わず頼む。目の前でや かんのお湯を注いでもらい、4.5元。待つこと4分。辛かったがなかなかうま かった。 [水草の実] 杭州を出て2時間、やることが無くなって退屈してきた。とある駅で緑色の 果物?を売る台車が窓下に来た。けっこう人気があり財布を取り出す間のあっ という間に売り切れ。前に座ったおばさんは器用に皮をむいていき、アイボリ ーの中身を口に入れる。皮を向いて食べる。自分にとって未知の食べ物。皮を 向いて食べる。5個目を見つめ、とうとう好奇心を押さえ切れなくなった自分 は、5元札を手に(あんまりそういう事はしたくなかったが)、身振りで一つ 分けてとお願いした。おばさんは、無造作に片手一杯の実をビニール袋から取 り出し、机上に置いてくれた。金は受け取らない、農作業で日に焼けた感じの 赤褐色の顔がにっこり笑う。
{photo:t807_2Hisi.水草の実、ほのか〜に甘い}
伸びていない爪を駆使し苦心しながら、皮をむき食べた。ほのかに甘い味と 水気、その後にリンゴみたいな渋味が少しする。 2個目、茹でてあるその実は緑色で太った三角形をしている。中身は、アイ ボリーで一見、栗の中身に見えなくもない。 退屈していた。皮をむき、中身を食べる。単純だが、なぜか楽しい。 何個目かを手にした時、あれ?っと思った。この形の実は見覚えがある。脳 がしびれたように小学校2年生の自分にトリップする。 ----- trip start ----- 友達の家で遊んでいた。 黒い実、三角形で四方に棘がある実。乾燥していて中でカラカラ音がなった。 たくと「これなあに?」 友達のおばあちゃん「これは、*****(思い出せない)。昔忍者が植物からもい で、鉄菱の代わりに道にまいた物だよ。」 忍者とか、ガッチャマンとか、ゴレンジャーとか、ゲッターロボが好きだっ た自分。友達の家からもらってきたあの黒く尖った実は、宝物として、おもち ゃ箱の中の特別な箱にティッシュに包まれて大事にしまっていた。もうどこに いったかわからない。そういえば、小さい頃からこの手の物は好きだった。ブ ーメランが好きで、最初の海外旅行は、オーストラリアにこだわった。ブーメ ランを3本、土産もミニブーメランだった。アオレンジャーが好きで、大学の 部活はアーチェリー部にした。エアーライフルも撃った。パタヤへ行った目的 の半分は射撃場があったから、大戦略(シュミレーションゲーム)では、長距 離射程の武器MLRS、トムキャット、パトリオットが好き。それに、 、 、 ----- trip end ----- ノートとペンを差し出し、 TAKT「これなに?」 おばさんは困った顔で首を横に振る。どうも、字が書けないようだ。でも、知 りたい事は伝わっていたようで、窓の下に水草がいっぱい浮いている池を指し、 この実はあの水草の実という事がわかった。 車窓の風景は、JRで走る昔の奈良の風景に似ている。 なぁ〜んとなく懐かしい匂いがする。 後日、図書館で図鑑や百科事典で調べたら、謎の水草の実の名前は、<菱(ヒ シ)>ということがわかった。解説を要約すると、 <菱(ヒシ)> 池の水底から細い茎を伸ばし、夏に水面に葉を放射状に広げ、水面を覆う一年 生の水草。アカバナ科。 果実には、逆三角形状の核果実と棘があり、それに似せて忍者が鉄菱を作った ようだ。果実の内層は、固い木質となり、1室のみが発達し、大きな1種子を有 する。種子には胚乳がなく、1個の大きい子葉と1個の鱗片状の子葉とがあり、 子葉には、生の状態で約20%のデンプンが貯蔵されている。温帯〜亜熱帯に広 く分布し、日本、朝鮮、台湾、中国に見られる。種子を茹でたり、焼いたりし て食用とする。また、民間薬として使われることもあるが、効用は不明。 中国では、果実を熱さましなどに用いる。 [バイクタクシー] 終点は上海西じゃん。16:30。街からは離れている。 友人から紹介のあった「長 」は外灘(バンド)という上海観光の中 心から見て北に位置し、少し距離があった。比べて、空港で手に入れたパンフ は安く、上海西駅からも近かった。地下鉄の駅も近そうだった。少し迷ったが、 地図で位置を詳しく教えてくれたバイクタクシーに飛び乗った。 電車の300Km19元 に対し 15Km40元は非常に理不尽な額に思えた。 宿は、空港の客が込む前に着いたので、アポ無でも部屋が確保出来た。 [上海雑技団を求めて] 30分の仮眠をとった。シャワーを浴び、地下鉄まで走っていって飛び乗り 人民公園駅(2元)まで行き着く。時間は、18:45。多分開演時間は19:00だろ う。焦る。手当たり次第にタクシーや電動三輪車を止めるが、上海商城劇場を 知っている人が全然いない。ちょっと上品そうなホテルの老年ボーイに尋ねる と、やっと当たりがついた。 「歩きで30分、この道の右手、タクシーの方がいいよ。」 と言われ、タクシーに飛び乗る。2.4km〜3Kmってところかな?取り敢えず、 手で、メーターのKm表示を指し、3本指を立てた。目を皿の様に右手を見つ めたが、見つからない。3Km走って行き止まり。500m程バックしてもらい、一 番立派そうなホテル前で止めてもらった。 白く楕円に聳え立つビル。そこは、旅遊飯店という5つ星のホテルだった。歩 道から少し入った所でチケットボックスを見つける。ガッチャ(当たり) でも、なにか様子がおかしい。がっかりした人が10数人たむろしているの だ。BOX前の表示を覗く。9/14〜17の4連休だった。自分もがっくり。 [Tap Dogs] ホテルのコンシュルジュに今日明日の演劇のことを聞き、明日、京劇をやっ ている所を教えてもらった。口調はイヤイヤだったけど、情報は信頼出来そう だった。今日はあきらめて帰ろうとすると、先ほどのチケットボックス前でダ フ屋が声をかけてきた。若はげの陽気なお兄さんだった。どうも、さっきまで 売っていたチケットを売りたいみたいだ。この4Fでやっているから付いて来 いと言われた。長いエスカレータ2本乗り継ぎ、4Fに上がると目指していた 上海商城劇場にたどり着いた。ダフ屋が目を話したスキに会場入り口でチケッ トを配っているネーチャンがいた。正規の価格が知りたかった。150元という ことがわかったものの、彼女は売ってくれない。説明を求めたが、説明出来る 程英語力がないようで彼女は困った顔をするだけだった。そうこうするうちに ダフ屋が舞い戻ってきたので、価格を聞いてみた。すると150元といいつつ、 同じチケットを見せてくれた。正直、混乱した。150元のチケットを150元で 売って彼になんの得があるのだろう??? 7:15、開演の合図。劇場の入り口で正規料金だからこっちに損はない。はず。 きっちり合った札を渡すと、彼は、手を引っ張って、空いている席に連れてっ てくれた。ダフ屋が堂々と劇場に入ってきた。本当に座ってていいのか不安に なったので、すぐに案内嬢にチケットを見せて、正規の席に連れていってもら った。まあ良い。分けわからんけど正規のチケットだったみたいだ。激しいビ ートとタップに解けない疑問はひとまず忘れてしまった。 Tapは、今ハラックスサーフのCMでやっている人達(6人)だった。なかな か小気味良い。建築用の足場とか、水を利用して見ていて楽しい。真ん中の客 席10列位までは足で水飛沫を掛けられる。自分の席は10列目だったが右サイ ドだったので、水はかからなかった。 途中、ダフ屋が舞台脇を奥に走っていくのが見えた。黒いTシャツに薄い頭。 見間違うはずがない。観客を振り返ってみると、客層の中心は明らかにこの5 ツ星ホテルの客だ。見事にリッチな西欧人。謎は全て解けた。ダフ屋の正体は 劇団員。客の大多数は、このホテルに泊まっているパックツアー客、入り口前 で配っていたチケットは、その客専用で引換券か何かと交換だったから売れな かったのだ。多分、上海雑技団が4連休の間、旅程が上海になってしまった客 の為に、アメリカから4日間だけ呼んだのだろう。もしくは、不満を押さえる 為にタダで招待しているのかもしれない。あの禿鷹青年には疑って悪いことを した。 最後まで、飽きさせない良いショーだった。 [地下鉄と帰路] 香港のよりもきれいな(新しい?)白色を基調とした地下鉄は、通勤通学客と 共に淡々と進んでいく。結構混んでいて、吊革はfull。YAさんの色街での 「いい上海女がいまっせ(なんで関西弁になるんやろ)」の話を思い出し、車内 の女性をつぶさに観察する。服装はいままで周ってきた地方よりも良い。しか し、自分の好みにもよるだろうが、期待したほどではなかった。多分、単なる ブランドイメージだったのだろう。 帰路は夜の為に間違って反対方向に歩いて迷ってしまった。地下鉄の入り口 が曲がっていて2個あり、行きに見たルンペンが移動していたのが迷った原因。 やっと目印のローソンを見つけた時にはホっとした。スナック菓子が、3〜5 元で売っていてうれしい。40gクラスのを5,6個*1.5元買いあさって食べ比べ た。オーストラリア製や欧米の脂っこい、味のしつ濃いものはなく、1袋100g を軽々食べられる味付けだ。米菓子系(比較・亀田、パリンコ)やスティック系 (比較・ポッキー)は基本的に日本のスナックとひけはとらない。ただ、馬鈴薯 系(比較・カルビー)、コーン系(対象・とんがりコーン)は少し味がおちる。 (スナック菓子評論家 TAKT) [華南賓館(Hua Nan Hotel)] ツイン180元〜。地下鉄・漕宝路から1Km東。近くに24時間ローソン。 辺りは団地地帯だが、街灯が少なく、女性にはあまり勧められない。 Tel.021-64705888,Fax.021-64703107 [本日(9/15)の主な出費] 宿代(華南賓館) 180元 鉄道(紹興〜上海西) 19元 バイクタクシー 42元 タクシー(2回) 30元 ――― 上海周辺9日間旅日記 第8日 へ つ・づ・く ―――
上海周辺9日間旅日記(目次)
世界あちこち旅日記(旅の目次)