上海周辺旅日記 第8日
{photo:t808_1Tvtower.夕日を浴びる東方明珠TV塔}――――― 上海周辺9日間旅日記 8-8.第8日 ――――― 1997年9月17日 8:30始動。上海市内観光は1日しかない。 大まかに立てた予定は、上海動物園・華鳥市場・豫園市場・郵便局・東方明珠 TV塔・外灘(通称バンド)・京劇。その内、華鳥市場と郵便局だけは、行き方 が分からなかった為行けなかった。時間がもったいないので、タクシーで30 分飛ばしてもらって上海動物園へ行った。 [上海動物園] 動物は好きだ。36枚撮りフィルム2本があっという間になくなった。珍し いのは、レッサーパンダ、パンダ、錦糸猿、でかいネズミくらい。隅の方にし ょぼくれた秋田犬とか、天王寺動物園から送られたペンギンとかがいてガンバ レって言いたかった。以外と面白かったのは、日本猿。絶えず動き回っていて、 追いかけっこや肛門の匂いを嗅ぐ挨拶行為等見ていて飽きなかった。
{photo:t808_2Panda.上海動物園のパンダ}
[市内] バスで市内へゆっくり戻った。No.57のバスは0.5元のと2元のとがあり、 エンジンの元気さが全然違う。0.5元のに乗っていた自分は、途中抜かされて 悔しい思いをしたが、それで落ち着いた。(いいや、ブラブラしても。) 市内を歩き、点心や卵をつまみ食い。歩き疲れたところで流しのタクシーを 拾って、一気に京劇のチケットを買いにいった。昨日の雑技団の劇場とは認知 度が格段に違って、タクシーは迷わず「逸夫舞台」という劇場前についた(た またま捕まえたタクシーの運ちゃんが知っていただけかも)。場末の映画館と いう雰囲気のチケット売り場で、筆談でチケットをget。日本のチケットは20 〜60元だったので、高い席を頼んだ。900円なので、映画のチケットよりもは るかに安い。売り場のおばさんも気さくで良い感じだった。 劇場は、地下鉄の人民公園駅から迷わず歩いて5分東、南京路より2本南の 道路に面している。南京路周辺は、デパートばかりだが、少し離れるだけで、 気取らない生活があった。小さな食堂前の看板に、麻ボー豆腐5元ってあるの を見て、急に食べたくなった。メニューは正確に読めないが5元〜20元でい っぱい種類があった。麻ボー豆腐は表の看板を指で差して注文し、「米飯」を 筆談しながら、「ミーファン」と言った。スマートではないが確実にオーダー 出来ている。やり取りを見て、食堂内の大学生っぽい客が、英語で「困ったら 代わりにオーダーしてあげる。」って言ってくれた。茶はなにも言わぬ間に出 てきたので、オーダーは完了してしまった。麻ボー豆腐は、おいしかった。本 場で食べているって先入観もあるんだろうけど、期待に違わぬうまさに満足し て食堂を後にした。これで6元(90円)。大阪でも麻ボー丼は最低500円はす る。連泊なら通い詰めているところだ。 南京路に戻り、外灘(通称バンド)方向へブラブラ歩く。上海市内観光の中 心がこの道と海岸だそうだが、デパートばかりで面白くない。豫園行きのNo.66 バスも探しているのだが、見つからない。とうとう外灘まで出てしまった。平 和飯店のJAZZ喫茶の位置を確認したり、両替をしたりしていた。この周りに は、明らかにうさんくさい輩がうじゃうじゃいた。 TV塔は対岸にそびえ立っている。夕方や夜登った方がきれいだろう。 結局、タクシーで豫園を目指す。
{photo:t808_3Bikebike.自転車とバイクと三輪車の洪水}
[豫園(ユイアン)] メーターが1回変わっただけで豫園に到着。運ちゃんの身振りから察するに どうも近くまで寄れなくて、だいぶ歩くみたいだ。どこを向いても土産物屋っ て状態から、たまたま目の合った人の良さそうな80才位の老人に豫園入口を 尋ねると手を引いてくれて、門前へたどり着いた。交わした会話は、「イーベ ンレン(日本人か)?」「うん。」「イークーレン(一人か)?」「うん。」(とっ さにyesって中国語が出てこなかった。)日本人とわかってもその老人は、無 言で大きくゆっくり肯き、なにか感慨深げな表情をした。戦争は経験されてい る年齢だ。ただ、敵意や激情を向けてくる様子じゃ無かった。50年以上の年 月が歴史にも、老人と自分の間にも存在していた。なにかの度に騒ぎ立てて駆 け引きの材料にしているのは、ポーカーフェースの政治家だけかもしれない。 老人とは、笑顔で別れた。 期待の豫園はそれほどでもなかった。連日見てきた紹興の2庭園よりも歴史 や技巧は少し勝っているようだが、狭すぎた。自分にとって初物(の中国庭園) ではなかったことも理由の一つだが、ケバい原色の飾り付けも個人的に好かな い原因だった。ここには、日本人ツアーが3組以上いた。ガイドはただで聞け、 お見合の話は面白かった。概要は、昔、結婚を決めるのは家同士だった時代。 婚前に本人同士がお互いの顔を知る唯一の手段がこの庭園の池をはさんで簾や 扇ごしに対面することが許されていた。ってな内容だった。 もっと面白かったのは、細い市場だった。どこをどう進んだのかわからない が、観光客向けの土産物屋をぬけ、地元の市場に迷い込んだ。フェズほど曲が りくねっていないが、道幅1mもないところに人が数珠つなぎで往来する。単 三の電池4本が1元(15円)に目が止まり、その側に探していた中国語をしゃ べる電卓があった。最初は70元。もう一つの電卓は「talking」と英語で書い てあって、40元だそうだが、電池を入れさせるとしゃべらない。店のおばさ んは少しバツの悪そうに、高い方を薦めた。最終的には、本当にしゃべる方を 52元まで下げさせた。他にこの旅行前に結婚式の招待状が来ていた友人のプ レゼントに龍の置物を買った(こちらは1/3に値切り)。 [外灘(通称バンド)] ゴミゴミした市場をぬけ、かばんに入りきらなかった龍の置物を片手に(ム チャ後悔)中学生に道を聞き、外灘へ。さすがに恋人達の歩道って感じだ。が、 こちら側にいたのでは、建物と夕日を背負う形になって景観は?(^T)。地図で TV塔を確認するとフェリー乗り場が近くにあることがわかった。行き支う2 隻の連絡船の行き交う先をしばらく観察して、近づいて行くと、トークン売り 場がすぐに見つかった。往復1.8元。黄色いプラスチック製のオモチャみたい なトークンを貰った。 [東方明珠TV塔(Pearl Tower)(写真、上)] フェリー上にいる間に夕日は、ぐんぐん沈んでいく。急ぎ足で800m程歩き、 チケット売り場を探す。ややこしい窓口がもうひとつあって身振りで上に登り たいと伝えるとチケット売り場を教えてくれた。(入場料40元=600円、17時 を過ぎていたので20元割引)荷物をもったまま入ろうとすると警備員に追い 出された。(荷物を預けろって???目立つ様に表示出しとけや!)とにかく、思 いのほか時間をロスして、エレベーター(行列15分)で登った。太陽は雲間に 半分に見えた。5分は見ていた。塔としての高さはアジア1位、世界でも3本 の指に入る高さ468mのテレビ塔。263mの展望台に登れる。 もう少し完全な夜景になるまで見つめ続けていたかったが、19:15開演の京 劇には余裕を持って行きたかった。中途半端な時間に降りた為、エレベーター ではエレガと2人っきり。聞いてもわからない中国語の説明を中断させて、英 語の説明をしてもらい。残った半分で少しだけ話をした。263mにしては、あ っと言う間に下に着いてしまった。「Japanese?(日本人でしょ)」といたずら っぽく笑った顔が印象に残っている。 [京劇] 3h45mの長丁場。はっきり言って疲れた。杉良太郎や里見浩太郎っぽい男と か、猿っぽい男とかが、皆裏声で、芝居をする。4部構成で、忍び、戦い、待 つ妻(これも男)、戦い。言葉がわからないので大体のイメージをつかむしか なかった。後ろの日本人、西洋人は2時間でつまらなそうに去っていった。 設備は、両サイドにはLEDでセリフを表示。400Wクラスの大音量スピー カー。舞台袖の右手には、胡弓や太鼓を鳴らす楽団が控えていた。
{photo:t808_4Kyogeki.京劇のキャストは皆男}
面白いのが舞台に向かって左手の40元の席で、明らかに常連のおじいさん 達が見せ場の0.5秒前に「よっ」「はっ」「あいやー」とか掛け声を掛けていた。 水戸黄門の様に決まったパターンが有るみたいだ。いずれにしても、訳のわか らない言葉を3h45mもは辛かった。だから、若い観光客はぐったり、近所の老 人はバリバリ元気だった。 [間に合わない終電] 京劇を2時間で22時には帰れるという自分の予想は、大外れだった。ぎり ぎり間に合うかと期待した地下鉄では、若いにーちゃんに追い出され。すぐさ ま、鉄格子を閉められた。どう考えても終電を逃した状況だ。目の前には、そ れを当てしたタクシーが2台止まっている。流しの小さいタクシーは、空車が なく、止まってくれない。悔しいけど、しかたなく、そのうちの1台に飛び乗 った。 ハードな日、この旅の最終夜はまだ続く。 [華南賓館(Hua Nan Hotel)] ツイン180元〜。地下鉄・漕宝路(Cao Bao Lu)から1Km東。近くに24時間 ローソン。お買い得は、おにぎり2元(30円)。紹興酒5年物19元。 辺りは団地地帯だが、街灯が少なく、女性にはあまり勧められない。 理由は次のエピソードにて。 Tel.021-64705888,Fax.021-64703107 [本日(9/17)の主な出費] 宿代(華南賓館) 180元 京劇(4列16座) 19元 TV塔 40元 タクシー(2回) 25元 その他、土産 (当時のレートは、1元=約15円) ――― 上海周辺9日間旅日記 第9日 へ つ・づ・く ―――
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